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T-114

ふと窓の外を見ると、そこにはうさ子がいました。
 
うさ子は、もの欲しそうにこちらを見ています。なぜなら
 
するめいかをうさ子に見せびらかしながらモリモリたべていたからです。原因はこちらにあります。
 
お怒りを静めるために力の限り謝らなければいけません。
 
僕は力の限り冷静に、且つ親しみと話しの流れを止めないように、こう謝りました。「すまねーな。」
 
とりあえず申し訳ないという気持ちをするめいかに乗せてみました。するとどうでしょう。
 
見事裁判沙汰にならず、ジダンで留まりました。
 
「次からは…」するめいかに夢中なうさ子。言ってることが良く聞こえません。
 
なんて事、よくありますよね。そんな時に便利なのがこちらの商品です。名付けて、
 
あんぱん。
 
見た目はリアルなおっさんの顔なパンなので、どんなうさ子も黙らせることが出来るというスグレモノです。
 
もし口に入れた場合、面の皮がぶ厚過ぎるため、歯や顎に障害が出ることがありますので、口に入れるのはおやめください
 
その注意書きの表記が小さかったために気付かないまま、たかしくんは木っ端微塵になりました。
 
オーソーーレミーヨー… その音にハッとなる僕とうさ子。思わず顔を見合わせます。
 
うさ子はそれとなく桃色吐息をふきかけました。吐息はみるみるうちに台風になりました。
 
台風に…なりはしましたが規模が異様に小さく、愛着さえ湧いてしまいました。
 
なんと、うさ子はそのミニマム台風を僕にプレゼントしてくれたのです。
 
するとどうでしょう、ベランダから室内まで水びたしになったではありませんか。
 
僕はうさ子をミニマム台風に放り込みました。
 
ついでにミカンと醤油も放り込みました。
 
味ぽんが手元に無かったので、それでもって代用する他無かったのです。
 
そして待つこと3年。するとどうでしょう。うさ子おせちができあがりました。やったあ。
 
さあ食べましょう!と僕が振り返ると、そこにうさ子はいなくて。
 
物悲しく煮立つおせちを見つめる僕は無性におかしくも寂しい気持ちで。
 
溢れる涙をこらえて食べたうさ子は儚くも力強い味で。
 
つまるところのそれは、ガムだったわけで。
 
その桃色に青が混じるうさ子味のするガムを、優しくもしっかりと噛み締めながら
 
僕は…、僕は…ッ!
 
味が無くなるまでッ! 噛むのをやめないッ!!
 
■うさ子と僕 第一部 完■~次回の活躍をお楽しみに!

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