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T-152

「夜に爪を切るとヘビが出るよ!」うさ子はママにしかられました。
 
鬼の形相で。
 
うさ子も鬼の形相で謝ります。「夜にヘビを切ってごめんなさい?」間違えました。
 
すると鬼の形相をした鬼が「ヘビ切ってんじゃねえ!!」と怒鳴り込んできました。
 
次に謝ると負ける気がしたうさ子は、切った爪を鬼にプスプス刺しました。
 
切って刺した爪は、なぜかママの眉間にも埋まっていきます。うさ子はそれをつかみ、
 
もう一度戻しました。
 
ママの眉間はズタズタで、表情に凄みが出ました。鬼、顔負けです。
 
鬼は土下座をしてうさ子に謝りました。なんで?
 
ママもうさ子に謝りました。なんだ?
 
おじちゃんは鬼に謝りました。だれだ?
 
結局、全員ヘビに謝りました。
 
鳥の卵を丸呑みにできると評判のヘビも、状況が飲み込めません。
 
飲み込めないとそこら辺にいる人が困った顔をするので、とりあえず
 
うさ子の爪を飲み込みました。諸悪の根源が消えました。ヤッタネ!
 
体内のあちこちに刺さり始めた爪は、ヘビを蝕んでいきます。
 
──そして、数日後。
 
「アリだー!!」地中で孵った食人アリが地上にやってきてしまいました。
 
うさ子にとっては珍味です。焼いて「ハフハフッハムッ!」とほおばりました。
 
すると中に異物が混入していることに気づきました。「これは…爪?」
 
そう、あの爪です。しかしなぜアリの中に?うさ子は首をかしげます。
 
「…そうか、もしかして…」うさ子は古文書を開きます。そこには
 
かつてのアリの襲撃から、この国で唯一生き残った男の生き様がzipでまとめられていました。
 
うさ子はワクワクしながら見てみました。グロ画像でした。うっかり。
 
「ダミーか。本物はどこへやったんだっけ…」必死で外付けドライブを回します。
 
探しても探しても、どこにもありません。焦るうさ子。取り囲むアリ。
 
結局、デスクトップの『新しいフォルダ』の中にありました。そんなもんです。
 
『─私はとうとう忌々しいアリどもを退治する方法を』その先は、背後のアリに読ませてもらえませんでした。
 
アリは才能の無駄遣いを発揮して、自らのプロモーションビデオを作成しました。
 
鬼の形相で。

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