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T-160

ピンクの物体が追いかけてきます。うさ子です。
 
断じてあの丸いピンクボールではありません。うさ子です。
 
昔ピクニックで行った山で失くしたピンクのボールはうさ子です。
 
昨日寝る前に見た月もうさ子です。
 
そう、そのうさ子が今まさにたぬきさんを血眼で追いかけているのです。
 
「今夜のご飯の付け合わせに『獣体盛り』を作るわよ!」
 
しかし、肝心のたぬきさんに逃げられてしまいました。きつねで代用を試みます。
 
きつねも見つかりません。焦るうさ子。あああん。
 
焦ったうさ子は、そこらへんにあったグリーンハーブを添える事にしました。
 
おいしさより薬膳としての効能が高くなりましたが、すでに味はゾンビ級です。
 
イイ所で気分が悪くなったうさ子。さっそく服用してみることに。
 
鼻をつまんでごくりとひと飲み。ドキドキものです。
 
するとうさ子の手のひらから金粉がとめどなくあふれてきましたよ。
 
もちろんいつものアレです。金儲け。
 
あっという間に金に埋もれてしまったうさ子。使い道を考えています。
 
飲んでみました。
 
ピンクがかっていたうさ子の全身はみるみるうちにどす黒くなりました。
 
せっかくの「金閣子」計画が水泡に帰しました。無念。
 
無念すぎるうさ子はショックのあまり、無心になってしまいました。
 
ぽかーんと呆けるうさ子。色もうすーくなってきました。
 
おや?みるみるうちに透明になっていくではありませんか、そこのぞうさんが。
 
ぞうさんは元々、クラスでも存在感の無いっていうか、名簿すら書きもれてる人なので構いません。
 
スネた見えないぞうさんは、動物園に引きこもってしまいました。
 
動物園でも見えないことに変わりはないので、街に出てみました。
 
街に出ると透明にした張本人のうさ子が花の蜜を吸っているではありませんか!
 
でも、案外透明も悪くなかったので、普通に話しかけることにしました。
 
「テメェ、ブッ*すぞワレェェェ!!」全然普通じゃありません。
 
「オヤ?声はすれども姿は見えず…」うさ子はキョロキョロとあたりを見回します。
 
イマイチな反応に腹を立てたぞうさんは、うさ子の耳をリボン結びにしばりました。
 
「ややっ?私の、耳が?」ぞうさんはそれでも気づかれません。
 
がんばって棒を足して『ぞうきん』にしてみました。
 
見えるようになりました。「まあ!なんでこんなところにぞうきんが?
 
たまねぎたまねぎあったわNE!!ハッシュドビーフ!カレー!フォンドボー!!」
 
人はそれを、竹取物語として、後世に語り継いでいくでしょう…。

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