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T-021

うさ子はこの前、星にお願い事をしました。
 
その願いとは「立派なうさ子になれますよーに」という簡素な願いでした。
 
するとうさ子が願いをかけた星がうさ子に向かっておちてきました。
 
その星は大きいながらも星としては未熟な星です。うさ子の願いはかなえられそうにない
 
ように思えましたが、その大きな星はうさ子にむかってこう言いました。
 
「うさ子や、お願いとゆーのは突拍子なものをした方がいいのだぞ?!立派なうさ子は努力しだいでできる
 
のだ。」「そーいうえらそうな口調で言って!アンタうさ子のお願いかなえる気ないでしょ!?」
 
「そ…そんなことないぞよよ…!!」星はとまどっています。
 
「そ、そうじゃ!なにか欲しい物を3つだけかなえよう。ものじゃぞ?!いいな。」と星は続けました。
 
「それじゃ、まず『立派なうさ子になれるステッキ』。もうひとつは『立派なうさ子になれるステッキ』。さいごは
 
『立派にしてくれるごんぞうじいさん』!この3つをくださいな」
 
「ごんぞうって誰じゃーー!?」星は言い、「よ…よし、どうにかやってみようではないか」冷や汗を流しながら、
 
その辺にある泉に「すみません、2千円で出てきてください」と頼みました。どうやら呪文のようです。
 
「うるぅああ~!!オレはそんなに安くねェぞ!!1964円にしろぉ!!」と泉から返事が来ました。
 
泉の中から、青スジを立てたフツーのじいさんが顔をのぞかせました。その途端、うさ子は
 
2年前に生き別れになったうさ子になりそこねたじいさんを思い出しました。
 
「おじぃさああぁぁ~ん!!」うさ子はおじいさんにラリアットをくらわしました。劇的再開です。
 
「うさ…ぐはぁ!!」じいさんはラリアットをくらって、もんどりうって倒れました。
 
「あたい、うさ子になったよ!上司うさ子にセクハラされてもあたい、耐えてきた。おじいさんの
 
ことが好きだから!!」愛の告白をするうさ子。でも泉のじいさんには何の関わりもありません。
 
「なんか…そんなことがあったようななかったような…のう、ばあさんや。」星に向かって言いました。
 
星はどうやら聞いてない様子です。チョロQに乗って遊んでます。もちろんチョロQはコナゴナです。
 
「あたいはうさ子になるために10年頑張ったってーのに、じいさん!あんたは泉で何してたんだ!」
 
「ムシして話してんじゃねえよ!淋しいじゃんかよぅ!」星は泣きながら、うさ子とじいさんに訴えました。
 
うさ子とじいさんはとりあえず星の血の涙を集めました。たくさんためて酒盛りをするつもりの様です。
 
「オレの涙をもてあそんだなぁ!!くそぉ!!もうお前の願いなんか聞いてやんないもーん!」星は怒ってます。
 
「泉に頼んでたからうさん臭いとは思ってたのよねー。」うさ子はジト目で星を見つめました。
 
星はそのジト眼に耐えきれず、空に帰ろうとしました。
 
「そうはさせるか!!」と叫んだのはじいさんでした。何故なら1964円をまだもらってないからです。
 
すると星は言いました。「うさ子さん、後日返しますので、3964円貸してください。」
 
うさ子の社会は全て物々交換で成りたっているのでうさ子は困りました。
 
「わかったわ!そのかわり『立派なうさ子になれるステッキ』をよこしなさい!」うさ子は条件を出しました。
 
すると星は「ステッキはないが、陰陽師に降霊してもらった、この若者を持っていきなさい。」と青年をうさ子にあげました。
 
青年はうさ子を見るなり、「あなたは立派なうさ子にはなれない」と非情なセリフを吐きました。
 
「そっ、そんなぁぁ!!!!」ショックを受けたうさ子は青年をボコ×2にしました。力技に出たようです。
 
青年は負けじとうさ子にビンタをかましました。往復で20回ほど。
 
その時です!うさ子の背中がぱっくり割れました。立派なうさ子になる為の羽化のようです。
 
そして割れ目からは新うさ子が出て来ました。色は生まれたてなのでまだ黒いです。
 
しかし、新うさ子は割れ目が短いために脱皮できずにもがいています。
 
星とおじいさんは脱皮を手伝ってあげました。2人は新うさ子を力の限りひっぱりあげ
 
ました。が、出てきたのは頭なしのうさ子でした。頭は皮の中に残っている様子。
 
新うさ子は手さぐりで頭を取り出し、首にくっつけました。前後反対で。
 
新うさ子はうれしそうに空の彼方まで飛んで行きました。春の北の夜空にはこのうさ子の星が見えるそうです。

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