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T-046

「ちょっとアナタたち!お年寄りに席を譲らないなんてどういうつもり!?」うさ子は電車の中で若者2人を叱り飛ばしています。
 
「なんだてめえ…二足歩行のうさぎなんて何?!誰か入ってんじゃねえの?!」若者が毒づきます。
 
「は…はい…入ってな…ななんか、ないわよー!!!!」うさ子は挙動不審になっています。
 
実は、入っていたのです。ちっさいおっさんが。
 
「だってほらここにファスナーあるじゃん!」若者の1人がうさ子の背中を指差します。
 
「そっそれはファスナーではなく、ただの飾りでゴザル!!」ますます挙動不審なうさ子。
 
「じゃあ触っても何ともないんだな?」若者がうさ子の背中に手をかけます。
 
「や、ややややめなさいッ!!」うさ子はかけられた手を自分の脇へ持ってゆき、へし折りました。
 
「ぎゃああああ…っ!」若者Aが悶絶し、若者Bが「て、てんめぇ~!」とうさ子に襲い掛かりました。
 
「おっ、覚えてやがれ!!」うさ子は敵の手下のようなセリフを残してダッシュで逃げました。
 
「ふうっ、やれやれ。とんだセクハラよね。不愉快だワ」と、プンプンです。
 
「誰もいないな。はあ、うさ子の中は暑いなあ」うさ子の中からちっさいおっさんが出てきました。
 
おっさんは、胸ポケットから今どきありえない『禁煙パイポ』を取り出し、吸い始めました。
 
「ズーーーバーーーブーーー」息遣いがヘンになっていますが、おっさんは気にしていない様子。
 
「フ…もう涙も枯れちまったか…。俺の人生も枯れちまったのかな…」おっさんは悲しげです。
 
「そんなこと言わないでよ。着させてあげてる私がみじめになるじゃない」着ぐるみのはずのうさ子が答えます。
 
「え!?これ喋るの!?」おっさんはうさ子を通販で2着1980円で購入したのです。
 
その一連のやりとりを、1人の少年が塀の陰から見ていました。少年は大のうさ子好きで
 
いつもいつもうさ子の後ろをついてまわっているのです。いわゆるストーカーです。
 
「うわーこれは新発見!!うさ子の中身は小さいおっさん…」どうやらHPで公開しそうです。
 
別に問題無いので放っておきますけどね。
 
「…着ぐるみにまで励まされちまうたぁな…。俺も、もう一回やり直してみる…か」おっさんは言いました。
 
「そうそう!一度は諦めた人生だもの。いっそ世界征服ぐらいやろうじゃないの!」うさ子はノリノリです。
 
「そうだな!!君と一緒なら大統領やテロリストを敵にまわしても勝てそうだよ」
 
「ステキだよ、アイツら…ホンマにスッキリだよ…!」少年はますますうさ子好きになり
 
ちっさなおっさんとうさ子を、持っていたデジカメで撮りまくっています。
 
「誰!曲者!?死ね!!必殺おっさんビーム!!」少年の気配に気づいたうさ子。思わずおっさんを少年に向かって
 
投げましたが、跳ね返ってきてうさ子にすっぽり。ファスナーは一生取れることはなかったそうです。

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