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T-051

「だからそのスイッチは押しちゃだめって何度も言ったじゃん!」うさ子は叫びます。
 
スイッチを押そうとしている人は…人じゃありません。蟻です!蟻がスイッチの上で
 
がんばって押そうとしているのです。しかし、軽くて押せません。
 
「うさ子さんには悪いけど…。こればっかりは譲れませんよ!押させてください!」それでも頑張る蟻。
 
仲間をどんどん呼んできます。そのスキをついて、うさ子が
 
高枝切りバサミで蟻をめったくそに切り刻み始めました。
 
「ごむたいな~」蟻の大合唱がうさ子の耳に届いても、うさ子はやめようとしません。
 
「ぎゃははは!大殺戮だー!!」うさ子は嬉しそうです。
 
まだわずかに残っているうさ子の良心が、うさ子に語りかけます。「ダメよ!そんな傍若無人なことは!」
 
しかしその声は届きませんでした。うさ子は蟻の粉を集め、フウと吹きました。
 
そうすると、どうでしょう。無数の粉がキラキラと宙に舞い、冬眠中のうさ子の
 
頭にふりかかり、冬眠うさ子の頭部に毛が生えました。しかもバーコードで…。
 
バーコードといっても1本ずつなので数えることができます。生えた毛がうさ子の鼻を
 
キュッと結びました。赤い糸となって。
 
「卒業式の後、伝説の西棟3F女子トイレで待ってます」どうやらついでに手紙も届いたもよう。
 
「まあ、果たし状ね!!」ブチ切れるうさ子。「冬眠だなんて10年早いわ!!」
 
ぷんすか怒りながらも、うさ子は伝説の女子トイレに行ってみました。
 
「えっと…まだみたいね。えっと、奥から3番目のドアを…」うさ子は暇なので、花子さんを呼んでみることにしました。
 
「花子さーん遊びましょー♡♡♡」うさ子は花子さんと遊ぶつもりの缶ポックリ片手にウキウキです。
 
「ごめんなさい。死んだおばあさんの遺言で、缶ポックリでは遊べないことになってるの」
 
「何よ何よ!いつまでもそんな過去のことにとらわれているなんて!ノスタルジィにも程があるわ!」
 
うさ子は花子さんに説教をしました。そして無理矢理3番目のドアを叩き割りました。
 
中には花子さんがおばあさんの遺骨をかかえてオロオロしていました。
 
トイレに入ったとたん、うさ子の片足が便器にはまってしまいました。思わず花子を突き飛ばすうさ子。
 
「そ、その便器は、私と現世をつなぐ唯一の架け橋だったのに…!もう、私もあっちへ行くのね…!?」
 
花子さんの体は、みるみるうちに消えて、骨と遺髪だけが残りました。
 
その時、うさ子を西棟へと呼び出した人が来ました。その姿は後光で輝いています。
 
「嗚呼…!阿弥陀如来様!」阿弥陀如来の神々しいパワーによって、うさ子もつられて神々しくなりました。
 
ダブルでビカビカ光る2人は、みるみるうちに球体となって、レフトスタンドへ…!
 
2人はそのまま宇宙へ飛び立ち、第二の月となりましたとさ。めでたしめでたし。

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