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T-091

うさ子は今空中浮遊中です。風船を両手に持ちながらフワフワ進みます。
 
ふと前を見ると、海が広がっていました。サメも見えます。
 
うさ子の小さい頃からの夢の一つは、サメの背に乗って海を走ることでした。
 
レッツチャレンジ☆!
 
手始めに、サメの歯を生やしてみました。ちょう鋭いよ。
 
この歯を使えば、ちょう新鮮なフカヒレも楽々手に入るでしょう。
 
というわけで、うさ子はサメにかぶりついてみようと、襲い掛かりました。
 
スタッ。見事、サメの上に立ちました。風船のお陰です。うさ子は感謝の気持ちを
 
表わすために、風船を丁重にサメの口の中に押し込みます。
 
調子が出てきたうさ子、そのままさらに風船をふくらませてみました。
 
パアン、と音を立て、サメが割れました?
 
辺り一面、ガッツリ、フカヒレの海。当初の目的より最新の目的を達することが重要です。
 
うさ子はフカヒレを集め始めました。しかし、フカヒレを狙っていたのはうさ子だけではなく…。
 
サメがいっぱいスタンバってました。彼らの辞書に共食いという言葉はありません。
 
さすがに多勢に無勢。焦ったうさ子の脳裏によぎったのは、「そういえば私、草食じゃなかったっけ?」
 
うさ子は考え込んでしまいました。「え?フカヒレって何の種類の植物?!」
 
「フカ…フカ?フカフカしてるヒレ?…ワラかしら…」宇宙人で草食のうさ子、頭はあんまり良くないです。
 
「サメと戦ってまで手に入れるべき?でもワラがあれば、ワラジが作れるかもしれないわ。
 
もしかしたらそれを進化させてワラジ虫にすることもできるかも…私は神?!」妄想が暴走です。
 
そんな事を言っている間にも、うさ子はどんどんサメに食われています。
 
「ふふふ、愚かなサメたち…。私は神なのよ。食われているのはどっちなのか、よくご覧」
 
よく見ても食われてるのはうさ子です。満足気なうさ子ですが、耳しか残ってません。もはや「耳」です。
 
耳は、かろうじて跳び上がり、サメ地獄から抜け出しました。
 
耳しかないのでは、耳かきすらできません。できないと思うと、余計にかゆくなってきます。
 
勇気を出して、サメに耳かきをしてくれるよう頼み込みました。
 
しかし口も無いのでジェスチャーでは通じません。
 
せめて、せめてボンテン付耳かきがあれば、通じたかもしれないのに。悔しくてやりきれません。
 
と、そのとき!サメ軍の長がズイッと前に出てボンテン付耳かきを出してくれました…!通じたのでしょうか…!
 
その刹那、長は耳にボンテン付耳かきをザックリ刺しました。ちほうでしょうか。
 
しかし今のうさ子は、以前のうさ子とは違います。かつてなら脳を貫通していたでしょうが、ゼロ出血です。
 
「耳でよかった…!!」うさ子(耳)は耳であることを誇りに思いました。
 
しかしボンテン付耳かきは武器として使われたことを心外に思いました。
 
「奴らに、このボンテンのふわふわさ加減を、何としてでも思い知らせてやりたい」
 
と、そのとき、うさ子(耳)がボンテン部分に触れました。
 
「フカフカだ!」うさ子のパーツが飛んできて集まり、叫びました。この奇跡も風船のお陰。よかったね!

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