- 2014/09/24
- テキスト
T-224
うさ子は初めてのフライトに緊張しています。
「大丈夫かしら、これ…というかヤバイわ絶対ヤバイ」
離陸する直前、飛行機はもう動き出しているのに、窓の外には煙が立っています。
パイロットとして初のフライトだというのに、このままでは大惨事です。
こんなのは嫌だ!うさ子が床に転がったその時です。
手のひらに乗るほど小さいサイズのオッサン作業員(22~58歳)が一斉に機長室から出てきました。
そしてあっという間に乗客を避難させました。ひとり床に転がるうさ子。
ホッとしたうさ子は、そのまま深い眠りについてしまいました。
CAの「お客様!」という声で大変不愉快な目覚めをもたらされました。うさ子マジ切れ。
ものすごい歯ぎしりをします。二度寝です。
「あと5分だけ…!」自らに呪いをかけました。うさ子は5分では起きないでしょう。
うさ子はその時、夢を見ていました。とてもきれいな風車小屋の前でおじいさんとたかしがスクワットをしている夢です。
なんて美しい夢のような光景なのでしょう。やがておじいさんとたかしは軽やかに踊り始めました。
フォークダンスを踊っていた2人はうさ子に目配せをしました。
しかしうさ子は目を伏せ、視線をかわします。
行き場を失った視線はひたすらに直進し、やがて
明治のチョコ工場生産ラインに紛れ込みました。
板チョコをキレイに割りながら進む視線は
やがて色がつき鮮やかになり、うさ子も鮮やかな青になりました。
ラインにM&M'Sが紛れ込むやいなや、内部告発者が新聞社にタレこみました。
そのあたりで
飛行機が落ちました。
うさ子はショックのあまりチョコをモリモリ食べました。うまい!これはうまい!
しかしそこはかとなく渋い?
ひょっとして、ロマンスグレーのナイスミドルに大ウケ?
ナイスミドル達は目をギラギラさせてうさ子に押し寄せました。
頼りがいのある上司、物静かなお父さん、チョイ悪な金髪のオッサンとよりどりみどりです。
1ダース525円(税込)で出荷しました。
おっさんがたくさん買っていきました。
チョコがバカ売れする店をよそに、墜落事故の現場は犠牲者こそいないものの、えらいことです。
四季を無視して花が満開。
うさ子も手に花をたくさん咲かせました。
おじさんとたかしはそれをうっとりと眺めるのでした。