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T-136

「そういえば知ってるー?どっかの国ではね、インスタント料理をマルチャンって言うらしいわよ」なんて1人でつぶやいて歩いているうさ子がいます。
 
そこの病院の患者さんです。
 
医者が「これは重症だね」と言いました。
 
「うさ子さん、お薬の時間ですよ」歩み寄る看護婦。
 
突き飛ばすうさ子。
 
それを見ていた医者はリズミカルな動きで
 
「きみも、ゆいしょ、ただしい、にんげんなら、私の言うことを、ききなさい」と言いました。
 
「そ、そ、そ、そ、そんなん、言われても、知らないゼ、私は私の生きる道を、進んでいく、だけなのサ」うさ子は答えます。
 
そんな二人を看護婦は、シラーっとした目で眺めています。突き飛ばされたまま。
 
「きっつ…」看護婦は吐き捨てるようにつぶやきました。
 
「私なんでこの病院に入ったんだっけ…」夕暮れの中、たたずむ看護婦の姿は、どこか
 
間違っているところがありました。
 
そこで看護婦は新しい病院を求めて街へ歩き出しました。
 
「私はもっともっともっともーっとすごい病院へ行くのよ」と、うさ子と医者はロケットの如く看護婦の後を追いかけました。
 
そして先行く看護婦は唐突に走り出します。当然、追いかけるうさ子と医者。
 
3人は、光の速さを超えました。
 
うさ子は、空へ。そらと書いて宇宙へ、旅立っていきました。
 
うさ子はまだしも、看護婦と医者の足には乳酸が溜まりきっていたので、これ以上走ることは出来ず、とうとう重力に負けてしまいました。
 
落ちていく看護婦と医者を見ながら、自分の俊足に酔いしれるうさ子でした。
 
そのままうさ子は走り続けて、ついにメロスのもとへ追いつきました。
 
「さあメロス、一緒にセリヌンティウスに殴られに行こうじゃないか」意気投合した2人は、いつの間にか城を越え、荒野へと走り去り、その後2人の消息を知るものはいませんでした。

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