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T-201

うさ子はピカピカに光っています。
 
目、鼻、口、手、おなか、すべてがピッカピカに光っています。
 
そのまま地下鉄大江戸線で六本木に向かいます。
 
普通に乗っていたはずが、いつの間に電灯扱いされていました。
 
しかもいまいち明るくなかったため、不良品として返品される始末。
 
三菱の工場に辿り着いたので、そこで働くことにしました。
 
まずは時給750円のトイレ掃除からです。しかし掃除道具がありません。
 
うさ子は抜けた春毛をつむぎ、雑巾をこさえました。
 
丁寧に拭いては、丹念に雑巾を洗います。効率が悪すぎて時間ばかりが過ぎていきます。
 
そんな事だから3年たった今でもCスタッフのままなのです。
 
悔しいので『C』を『O』にしました。うさ子は鼻高々になり
 
やがて輝き始め、すばらしい電灯になりました。
 
今となっては、生産ラインの立派な金型を務めています。
 
貯金も増えてきました。しかし、まだまだ。「アタイには、夢があるのよ…」
 
おヨメさんに永久就職する夢を描きつつ、よだれをたらすうさ子。
 
よだれがピカピカに光っています。
 
光るよだれがそのまま川になり、生産ラインはまるでガンダーラです。
 
ガンダーラを歌いながら、仕方なく発注業務に取り掛かります。
 
すると、三菱の従業員がみるみる修行僧のようになっていくではありませんか。
 
中には仏になる者もいます。まるでどころかほぼガンダーラです。
 
本当か嘘かは関係ありません。人が信じればそこがガンダーラなのです。
 
修行僧や仏たちは「さとりなさい…」と言いながらうさ子ににじり寄ってきます。
 
うさ子はさとりました。お嫁さんにはなれない、ということを。
 
悲しみにくれたうさ子は、菩提樹に永久就職。
 
しかしCスタッフの称号は変わりません。時給750円も変わらず
 
絶望の果てに菩提樹うさ子は樹齢1800年ののち朽ち果てました。
 
朽木にはやたらカブトムシの幼虫が住み着きました。
 
「将来イケメンになるに違いない…!」と幼虫を青田買いしました。
 
幼虫は3年の修行とたくさんの養分のおかげで
 
ムキムキマッチョとモチモチ力士に二分する成長っぷりを見せました。イケメン、ゼロ。
 
菩提樹うさ子の魂は絶望しました。
 
絶望のあまりプツンと何かが切れたうさ子の魂。更に光を増し
 
目、鼻、口、手、おなか、すべてがピッカピカに光っています。
 
これで大江戸線に乗るのはよくないと思ったので、
 
通勤には自転車を使い始めました。ホラ、夜だって、明るい。
劇場版へ続く。

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