- 2008/08/06
- テキスト
T-005
あるところに、うさぎのようで人間じゃないうさ子が住んでいました。
そんなうさ子にも人には言えない大きな悩みがありました。
それは脇の毛が少々薄いということです。
さらに、頭にはつむじが4つもあることでした。
悩んでいたらつむじがだんだん増えていってしまったのです。
しょうがないのでモルモット(地名)に悩み相談に行くことにしました。
モルモットはつむじ治療の専門病院があります。それとカジノのメッカです。
病院の前まで来てはたと気づきました。「あっ保険証がないっ!!」
うさ子は何故か保険証を使わずに今まで生きてきたのでした。そういえば医者にも行ったことがありません。
医者どころかわくわく動物園にすらいったことも無かったのです。
「うさ子さーん」まだ受付もしてないのに病院から看護婦さんが呼んできました。
うさ子は「あら私って有名人ね」と看護婦に微笑んで手を振りました。が、しかし看護婦は…!
おっさんだったのです!!しかも渋い!!うさ子もつられて渋くなってしまいました。
「うさ子さん、保険証の分は私が払って上げましょう。」とそのおっさんは言ってくれました。
「私は相談センターに行きたいの。病院はお呼びでないわっ」うさ子はおっさんの親切を振り切って相談センター「じゅびろ」に向かいました。
しかし「じゅびろ」はなぜか切り立った崖の上にあり、崖をのぼらなくてはいけません。
しかも其の崖は高さ3250トゲロン、幅が50トゲロンという何とも険しい崖です。
1トゲロン=1リットルと考えて、うさ子は耳を伸ばして崖の上に手をかけました。
「やあ、君はこんなところで何をしているんだい」200トゲロンほど登ったところで後ろから謎の声がしました。
そこにはピンクのウサギさんが空を飛んでいました。もちろんうさ子の幻覚です。
いえ、正確には幻聴です。うさ子の後ろには鏡があったのです。
「何って…これから機械の体をもらいにいくの」うさ子は鏡に向かって答えます。
「それなら崖を上っている場合じゃないわ、鉄道に乗って!!」鏡のうさ子は答えました。
うさ子は知らない間に3000トゲロン地点まで来ていたので、鉄道は遠回りだなと思いました。そこで
「ようし、ショートカットしてやる」うさ子は崖に大きな穴を掘り始めました。
うさ子の耳はドリルのように鋭いので隙間掃除もラクラクです。
掘り進み、突き出たのはじゅびろの中でした。じゅびろは崩壊しました
本末転倒なので、うさ子はボー然としています。
「じゅびろはひとつだけ違うね…明日に向かって走れば何とかなるよ…」あまりのショックで中国人のしゃべりになっています。
その時じゅびろのがれきの下から誰かの声が聞こえました。生存者がいるようです。
ほっとしたうさ子は、その声のする方へ歩いて行きました。
「た…たしゅけてくれぇ…」「そ、その声は…」うさ子はその声の主を知っているようです。
「その声は…まさか、おとというちにきて洗剤やらビール券やらをドカドカ置いていった新聞の勧誘のにーちゃん?」
「イヤ…うしゃ子のおぢーちゃんじゃ…」よく見るとかなりやばいじいさんががれきに挟まってます。
うさ子には肉親はいないので、名前を知ってるこいつを怪しく思い、
「本物のわたしのおじーちゃんなら、私が朝起きて最初にすることを知ってるはずよ。答えてみてよ」
「か、顔を洗う…」「ベタじゃーん!!でも合ってるー!!」なんと、じいさんは当ててしまいました。
そうこうしているうちに、じいさんの体はどんどん衰弱していきます。
うさ子の頭の中で天使と悪魔が戦います。「いけないわうさ子。たとえ見ず知らずの人でも助けなくちゃ」
「悪魔は黙ってなさい」とうさ子の中の天使が言いました。
うさ子の中の天使は悪魔を刺しました。悪魔は消えました。
「さあおじーさん、助けてあげるわ」うさ子はがれきをぶんぶん取り除きました。
がれきは上に飛び、真下に落ちてきました。うさ子は避けたのですが、おじーさんにヒット!
でも、うさ子はその事に気付いていません。うさ子はおじーさんに構わずブンブンがれきを取り除きました。
取り除いてるがれきにおじーさんはあたりまくってました。
「おかしい…どんだけやってもはかどらない。はっこれはまさか!」
ビシュゥー!!辺りは一瞬にして真っ暗闇になってしまいました…。
先行き不安になったうさ子は「うーむ暗くてよく見えぬ。たれぞ明かりをもてい!!」と叫びました。
そしたら自然に明るくなりました。目が覚めたら空が見えました。
「夢だったのかしら…まぁいいわ。じゅびろに行こう」おしまい。