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T-044

今日は一生に一度の晴れ舞台、「うさ子まったーり式」の日です。
 
うさ子は正装して出かけました。
 
もちろんリオのカーニバルで着るようなステキな衣装です。
 
舞台裏で化粧直しをするうさ子。
 
「思いの外メイクに時間がかかっちゃったわ…。式に間に合うかしら?」メイクをする手が早まります。
 
「うさ子さん出番で~す!」通りがかりのAD見習いが呼びに来ました。そのAD見習いは、
 
見なかったことにして、宝塚メイクとカブキメイクを織り交ぜたメイクを完成させました。
 
「よし、これで今日のベストドレッサー~ピーコもオススメ~賞はいただきね
 
あらあら、これを付けることを忘れていたわ」うさ子はお気に入りのブレスレットを付けました。
 
そのブレスレットは、ひとしくんとの友情のブレスレットだったのです。
 
しかも、万歩計機能を備えた優れものです。
 
「またひとし君にアタックするために毎日一万歩歩いて体を絞るわよっ」うさ子はひどく興奮しています。
 
さらに、そのブレスレットにはひとしくんとのめくるめく思い出も収納できる優れものなのです。うさ子は
 
ちょっとうんざりしてきたので、ブレスレットを捨ててみました。
 
「おい、俺との思い出を捨て去るのか?あっさりと」実はブレスレット、通信機能付きなのです。
 
「えっ、何のことでしょう?」うさ子はすました顔でとぼけてみました。
 
「とぼけるんじゃねーよ!オレとのLOVEを通り越してKILLな友情を忘れたのか!!?」
 
グシャラ!!うさ子はブレスレットを踏み潰しました。
 
「…もう君との友情はこれまでだな…うさ子…」ひとしくんの目には涙が。
 
「よーし、まったーり式で友情をかけた勝負といきましょうか」うさ子が言いました。
 
ひとしくんは涙でずぶぬれです。うさ子はその涙をすくい上げ、飲んでいます。
 
「うーん、ちょっぴりシュガーなお年頃味ね♡」うさ子はひとしくんの涙が気に入ったようです。
 
「えーい、もっと泣け~」うさ子はひとしくんの近くでたまねぎをきざんでみました。
 
しかし、ひとしくんはピタッと泣きやみました。その代わり、目からウロコがさらさらこぼれました。
 
うさ子は、そのウロコを拾い、舞台の上に立ち上がりました。そして
 
「わしゃあ天下を取ったぜよー!!」と叫び、まったりしている聴衆に言い聞かせました。
 
「うーん、もうひとつ」「あまいな」「ひっこめー!!」ヤジが飛びます。
 
「このままじゃ、まったーり式のマスターにはなれないわ…!どうしましょう…!」
 
仕方がないのでひとしくんと『まったーりましんがんとーくしょー』をして、場を和ませてみました。
 
でも和まなかったので、ハトを出してみました。和みました。おしまい。

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