- 2008/11/16
- テキスト
T-107
うさ子はストローを取り出しました。
しかし、もう手遅れでした。ツトムくんの容態は悪化するばかりです。
でもうさ子は、あきらめずストローをツトムくんの額にブッ刺しました。
するとすると!ツトム君に刺したストローから緑の液体が吹き出し、ツトム君の顔色が良くなっていきます。
緑色の液体は1つになり、そしてもう1人のうさ子の形になりました。
「おめでとう!玉のようなうさ子ですよ!!」ツトムくんの主治医は号泣しながら
はげしく、はげしくそしてソフトにランバダを踊っています。
皆はそれを静かに見守っていました。
むしろ、どっぴきでした。哀れんだ目に気づいた主治医は、ツトムくんを
人生の汚点と考え、胸の奥にかたく秘めることを決意しました。それはさておき、緑のうさ子は
主治医にすり寄っていきました。どうやら主治医を自分の親と認識したようです。
あわてる主治医とストローを刺したまま寝てるツトム君。うさ子は交互に見比べてそして…
「あとはよろしくね!」と、主治医に微笑んで、さわやかに去っていきました。
去ってはみたものの、うさ子はどこへ行こうか何も考えていません。どうしましょう。
「とりあえず夏はブーメランね!!」ということで一気にオーストラリアへ飛ぶうさ子。
オーストラリアにはコアラが死ぬ程いました。
いっぱい死んでました。
オーストラリア領域に疫病の嵐が吹き荒れる中、うさ子はやって来てしまったのですとも。
うさ子もとりあえず疫病にかかってみました。
そうすることでコアラとコミュニケーションを取ってみようと思ったのです。しかし苦しいだけです。
うさ子は隣にいたコアラに助けを求めてみました。
「ごめん、ムリ」コアラは言いました。内股にならずにいられない疫病は止まりません。
うさ子は内股で歩きながら、とりあえずブーメランを作りにアボリジニーの所へ
ブーメランに乗っていきました。
「あるじゃん!」コアラは目を飛び出させてビビりました。そうこうしている間にも内股は体を蝕みます。
ヒザが本来曲がらない方に曲がりきったコアラの足は折れ、コアラは絶命しましたが、うさ子はまだ大丈夫です。
だってうさ子には骨がないんですもの。どんなにヒザが曲がっても平気なのです。
両手足をくるんくるん回しながら、コアラ放置のままうさ子は脱出を企て、体を浮かせましたが、
浮いても浮いても、空しかありません。どんどん上へ上へ飛んでいきます。
「こうなったら…飛ぶしかないわね…『高み』へッツ!!」うさ子は内股になったまま
そして足をプロペラのように回したまま『ウルトラマンがかえっていくポーズ(自作)』で上へ上へと
耳だけ伸ばし、「これはゆかいですね」と自己満足し、その耳を
小さい小箱にしまいました。そこには達筆で「へそのお」と書かれています。
「母がいるから私がいる、タンカーがあるから石油がくるんだなあ」と真理を悟ったうさ子がおったそうな。