- 2008/12/06
- テキスト
T-127
「碁石って超美味!」黒の碁石の食感を味わいながら道を歩いていると、
道の傍らにあけた穴から宇宙検事・碁盤が盤面を覗かせて言いました。
「王手!」
そこへまじめそうなお姉さんが時計を持って通りがかりました。
「…10秒…20秒…30秒、これより石黒五段、園長に入ります」
「…50秒…60秒…70秒、そういえば石黒五段、園長ってなんでしたっけ?
それはアタシのことよ!」そういいながら、うさ子が何故かお立ち台に誇らしげに仁王立ちしていました。
それを呆然と見ていた石黒は、時間切れでピラニアに食べられてしまいました。
「ウギャア お姉さーん!」絶叫、ナチ黒。
うさ子はピラニアごと石黒を食べました。
おしゃれにソテーかなんかにして。
残されたのは、宇宙検事とお姉さん。うさ子、そして碁石を食べていた
パリジェンヌ。
を気取った着物美人でした。
すると宇宙検事はいきなり「こ、コレは密室殺人だ!!」と叫びました。
「重力にとらわれた密室…それが地球」と、広い意味での解釈をうさ子はしてしまいました。
「そしてここは四方を50mの巨石で囲まれた、文字通りの密室」と冷静に現状を把握し、
「ま、ぶっちゃけ美味だったワ」うさ子はあっさり自白しました。雰囲気ぶちこわしです。
宇宙検事はうさ子に手錠をかけました。しかしうさ子は
検事に500円を渡して、釈放されました。検事は思いの外お金に弱かったのです。
「これで病気のおとっつぁんに薬のうまい棒納豆味が買えるゥ」安堵のあまり検事は
身体中の空気を吐き切りました。すると、検事は蛇腹チューブの様にしぼみながら壁に向かって歩き、
空に還ってゆきました。病気のおとっつぁんをあっさり残して。
「めでたしめでたし」うさ子は検事のおとっつぁんを食べ、検事と同じところへ
行くように着物美人を説得しました。意図はわかりません。しかし、彼女は泣きました。どうやら
着物が対空仕様ではないらしく、飛べないようです。
そこで、うさ子は着物の中に入って何かごそごそやり始めました。美人は微動だにしません。
小一時間すると美人の意思とは違う動きをし始めました。そうです!二人羽織なのです!
さっそく麺類を食べ始めました。「ちゃんとしのすけ!」
ニョッキリ顔出し笑顔のうさ子。しかしキレた着物美人は前にあったビーフンをうさ子にぶつけました。
常々テーブルを汚さないように食事をしろと母親から言われていたうさ子にはとてもショックでした。
尋常でないスピードでテーブルを片付け始めるうさ子。着物美人は煙草をふかしながらうさ子を鼻で笑います。
それに腹を立てたうさ子は鼻息で美人を吹き飛ばしました。鼻が無いにもかかわらず。
「王手!」うさ子二段は高らかに勝利宣言をするのでした。