- 2008/08/15
- テキスト
T-014
地響きが聞こえます。どうやら、うさ子は昼寝をしているようです。
その地響きはうさ子の腹の中から聞こえてきます。うさ子の24の特技のひとつです。
「ふう、今日の『腹地響きセレナーデ』はこないだ食したモゲルの嘆きがコーラスに入って最高だわ」とうさ子
しかしその音を不快に思う人物が。隣に住むゴンザレスさん(24才・カナダ出身)です。
CD出せばミリオンセラーのゴンザレスさんは昔その音でかなり苦労したらしいのです。
「くぅ…おいどんが10年かかって出せた音を…
あの野郎は3日と18時間でマスターするとは……」と何気にストーカー発言をするゴンザレスさん。
ゴンザレスは新聞の勧誘を装い、うさ子宅に押し入ることにしました。
とんとんとん。「何の音?」「朝売新聞です」「あーよかった」
とんとんとん。「何の音?」「お化けの音~」「あーよかった」「よかったじゃない!というわけで覚悟!」
ゴンザレスはうさ子めがけて伝説の禁じられた大技『チョレギサラダアタック』を発動させるっ
「やっ…やったか」しかしうさ子の姿はなし。「ほーほほほ、私を倒そうなんて10年と23時間早いわっ!」「何
!?」ゴンザレスが振り返るとうさ子が立ってました。しかも、血だらけで。「しっかり攻撃受けてるー!!」
「なんかよう?」頭頂部から間欠泉の如くピュっピュと出血させながらもクールに訊くうさ子。
「お~い、自分の顔を拭ってみな。
お前真っ赤だぞ」「えっ…あらいやだ。赤い雨が降るなんて。天気予報のうそつきさん♡」
なんて言ってるうちに、うさ子の顔が土気色に変わってきました。
貧血でフラフラのうさ子。フラフラついでにフラダンスを踊りだしました。
「こ、この踊りは!!」何とうさ子の踊りはゴンザレスの師匠、イワン(アリ)の踊りそのものだったのです!
師匠を思い出したゴンザレスは、うさ子と一緒にフラダンスを踊り始めました。
と、そこへ、フラダンス歴50年の大ベテラン、九十九里カク子が乱入!
「だめぢゃ!腰がなっちょらん!スイングスイング!!」カク子はうさ子とゴンザレスをひっぱたきました。
カク子(男・65歳)の会心の一撃!うさ子とゴンザレスを倒…す前に、カク子が倒れてしまいました。
「カク子殿、カク子殿!」ゴンザレスはダンスをやめて介抱に駆けつけました。うさ子は踊っています。
「き、貴様!師を思いやる気持ちがあるのか!!」ゴンザレスは怒りに燃えています。
「怪我人が先でごわす!」せっせと介抱しています。
「そいつもう寿命なんじゃない?」とうさ子はおかまいなしに激しくダンスしています。
ジャン!…音楽が止まり、うさ子のポーズがキマりました。その衝撃で、カク子は…
「ふはーよく寝たわ」と音もなく起き上がりました。と思ったら逆立ちしてました。
余りにも突拍子もない動きにゴンザレスはバク転してしまいました。うさ子は「今度はバク転対決ね!」と勘違いしてます。
はりきるうさ子。その勢いで宇宙の彼方へ飛んでゆきました。…戻ってきました。
よく見ると、うさ子は椅子に座っています。
「その椅子は!!」何と、どこから持ってきたのかその椅子はカク子が通販で購入した万能椅子だったのです。
万能椅子は何でも主人の言うことをきくすごい椅子なのです。
要するに、うさ子はカク子の椅子の主人という権限を奪ってしまったということです。
あせったカク子は椅子の方へ走っていきました。もちろん、まだ逆立ちのままです。
「ああ、今は無きメローイエローが飲みたくなったわ」「アイアイサー」うさ子の命令に椅子はパシリに行きました。
数分後、椅子がメローイエローを持って走ってきました。
そのメローイエローはゴンザレスが丹精こめて作った手作りです。
ごっくん。丸のみです。もちろん、カク子ごとです。
するとあら不思議、うさ子の体の色が、元のピンクとメローイエローの色があわさって…
甘党のうさ子が出来あがりました。ほんのりイチゴ味です。
「いやーん!今度は『マスクメロン入り抹茶プリンパフェ(ユーゴスラビア風)』が食べたくなったわ~ん!」甘党うさ子暴走中です。
ゴンザレスはというと、気絶していました。「カク子殿が…カク子殿が……」いやな汗が流れています。
パシってた椅子が帰ってきましたが、なぜか持ってきたのは「マスク入り抹茶」でした。
椅子の持ってきた「マスク抹茶」を飲んだうさ子は…。
土と同化してしまいました。むしろ肥料です。その様子を某TV局がドキュメント放送してたのはまた別のお話です。
その肥料を見て、ゴンザレスが我にかえります。戦いのゴングが鳴り響きます!
しかし次の瞬間、戦いの終わりを告げるゴングが!
「チャンピオンうさ子、チャレンジャーゴンザレスをTKOで破りました!」「っていつの間にー!」
「いえーゃ!あいあむあちゃんぴょーん!」うさ子はボウリングを投げるポーズをとって強さをアピールしてます。
こうして、うさ子は履歴書の資格欄に書く項目を、また1つ増やしたのでした。おしまい。