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T-154

「今夜のおかずは何にしようかしら」新妻うさ子がつぶやきます。
 
散々迷った挙句、自分がおかずになることにしました。
 
夫はいないので、食べてくれる人はいません。最近ではそれも受け入れています。
 
とりあえず自分の耳をムシャリ。うん、悪くはありません。
 
足も少しかじってみます。独特の臭味がありますが、食べられないほどではないです。
 
しっぽは…あれ、しっぽはもともとありませんでした。あれ?
 
しっぽが だんだん 生えて くるよ? うそだよ?
 
しっぽの行方がわかりません。神経つながってるのに。
 
…もしかしたら、あ、土に埋まってます。…これどこに行ってんだろう。
 
ひとまず地中深く探してみようと思いました。頭を地面に突っ込みます。
 
みるみるうちに丸ごと土の下にもぐるうさ子。おかしいなあ。
 
土はうさ子の栄養をどんどん吸っていきます。
 
でも、そこには何も生えません。妙。
 
結局吸われ損のうさ子。うすーくなってしまいました。
 
しかし、土と同化することに成功し、地面より下が空中のように見えてきます。
 
地底人うさ子の誕生ですか?
 
いいえ、それはボブです。
 
「見ることしか許されないのね…」初めはストレスがたまりましたが、悟りました。
 
私は、ボブなのだと。
 
中東のほうから大きな飛行機の影が視界に入り、やがて丸いものが落ちてきました。
 
正露丸です。
 
直径5メートルあるので、2ミリしかないうさ子には食べ切れません。
 
異臭騒ぎは中東におさまらずユーラシア全土を覆ったので、国連が動きました。
 
「一体どうした!何があった!」「はい、巨大な球体が落ちてきまして…。
 
吐き気がおさまるなどの報告もあり、全力で調査中です」
 
そんな会話を繰り広げる地底人うさ子ことボブ。現実逃避です。
 
「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ!」うさ子ことボブは目からビームを出しながらうろたえます。
 
フリでした。なんとなく空気的に慌てた方がああわあわわ。
 
…とうろたえるフリをして2時間、状況がまったく改善しないので、仕方なくうさ子は
 
夕飯をカレーにすることに決め、テレビを見ながら夕餉を楽しむのでした。

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