- 2009/01/06
- テキスト
T-158
ここは山のとある旅館。うさ子は湯治に来ています。
湯治というのは建前で、新しい出会いを求めてのチェックイン。
宿帳に記帳を済ませて、予約した部屋「地獄の間」へ入ると
匠の業が光る、とても落ち着いた空間が広がっていました。
なんということでしょう。地獄の間は、およそ20畳ほどの空間を30分割することにより、陽の光をやわらかくしていたのです。
一見天国のようですが、室内にいるおびただしい数のカエルたちが「メメタァ、メメタァ」と大合唱をしています。
その蛙たちを見て悦に浸るうさ子。すると若女将の放射線を浴びて巨大化したイボガエルが現れてこう言いました。
「おれんとこ、こないか?」
疑問符をつけつつも、イボガエルには一つの確信があったのです。
それを知ってか知らずか、うさ子は返事をしません。
返事をしないうさ子に痺れを切らしたイボガエルはうさ子にイボを飛ばしました。
30発。
イボはうさ子の頭に全て吸着し、全てが根を張りました。
「今こそ、そのときです…!」普段おっとりしていた女の子が真剣な眼差しでうさ子を見つめます。
「ニッポンの、夜明け…」 女の子の目は光を放ち始めました。
ほどなくして鼻からも光が漏れ出しました。
地獄の間は一瞬にして天国の間に変わりました。うさ子は
もう、そこにはいませんでした。
大したおもてなしもさせてもらえずに帰りやがって、プロ意識を傷つけられたと若女将は怒髪衝天しました。
そのときです。若女将の口から大量の温泉が湧き出たのです。
それを見て、普段おっとりしていた女の子も帰ってしまいました。若女将は湧き出る温泉のせいで
マーライオンのように一生を過ごさなくてはならなくなりました。温泉ショックです。
チャラリー。
効果音と共に温泉たまごも出てきました。
ポンポンとタマゴが出るならまだしも、温卵なのでドポッ…ドポッ…と気味が悪いったらありません。
うさ子はこの気味の悪さにビジネスチャンスを感じました。
気味の悪い要素を最大限まで取り入れた温泉宿を立ち上げようと考えたのですが、
保健所から指導されそうだったので、その気味悪卵を使って作ったお菓子の店で一部の女性を中心にボロ儲けをしたのでした。スイーツ(笑)