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T-168

うさ子は見てしまいました。
 
夕陽にたたずむ、もう1人の自分っぽいような、そうでもないような
 
なんかよくわかんない、毛の生えてるかんじの
 
アツアツでまっくろでぬめぬめしているような
 
住職
 
だと言ってはいるが実は無職でただ寺に住んでいるだけの
 
目にクマをつけている割には、そうは思えないくらい元気っぽく見え
 
なくもないか。そうか。そうだと思ったんだけど…。
 
まあいっか、そんなようなのを見てしまいました。
 
「昼間からイヤなもの見ちゃった…同族嫌悪!!」
 
するとそいつがゆっくりと近づいてきました。
 
口づけを求めつつ。
 
うさ子は逃げた…夕陽を背に…全力で…。
 
怒った顔をした夕陽は、フェイントを織り交ぜながら飛びかかってきます。
 
そこでうさ子は、ポケットに入れておいたカメの甲羅を投げつけました。
 
甲羅は真っ二つに割れ、中から長い白ヒゲのうさ子仙人様が出て
 
アイツにぶつかってしまいました。そして入れ替わる心と体。
 
オレがアイツで、アイツがオレで。
 
結果的に仙人が近づいてきました。状況は悪化しているように思えます。
 
うさ子は全力で仙人をバールのようなもので
 
えぐりました。
 
「テコの原理パネェ…」先人の知恵にご満悦です。
 
一方その頃夕陽は、なんだか眠そうにしておりました。
 
地上のうさ子がうるさいので、火の玉をうさ子に投げつけました。
 
よく燃えます。ぜんぶ燃えました。メラメーラ。
 
「おしまいじゃあ…炎の時代の到来じゃあー!!!」
 
と夕陽が自分の事を棚に上げて言い放ちました。彼自身が終わってます。
 
「もう終わったー?てかまだやってる?」のれんをかきわけながらうさ子が出てきました。
 
夕陽は怒りに燃えました。地球もメラメラ燃えとります。
 
今日び熱血キャラは流行らず、夕陽はとにかくウザがられ、ハブられ、流されて…
 
転校することになりました。
 
「よしっ!これを編集部に持って行って…と!」うさ子は原稿用紙を揃えると、
 
集談社へ向かいました。
 
気軽に持ち込んでください!君の一筆で日本にブームを巻き起こせ!─集談社

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