- 2008/08/23
- テキスト
T-022
うさ子の目覚めはコーヒーから始まります。
それも漢(オトコ)なブラックです。砂糖やスジャータなど邪道です。
うさ子が漢かどうかは別にして、牛乳よろしくコーヒーを一気飲みしたうさ子は、
「くっはぁーーーー~~!!この一杯のために生きてるよなぁ~~!!」とつぶやきながら…
朝のおつとめをすることにしました。それはうさ子が毎朝欠かさずやっているという例のアレです。そうです。
「窓をあけて、外に向かって『ヱツ子さ~ん』と叫ぶんだったわ!」
そして窓を開けて叫ぶ直前、うさ子は視界の片隅に気になるブツを発見しました。
「ああ!!つむりちゃん!?」つむりちゃんはうさ子の数少ない友人の1人です。
つむりだからといってかたつむりではなく、ゲートボール仲間の老婆(77)です。
「つむりちゃん、調子はどう?」「押忍!そりゃもう絶好調っすよー!!」つむりはスティックをふりまわしました。
しかし、よくよく見るとふりまわしているのではなく、スティックを軸にして、つむりちゃんがまわっているのです。
つむりちゃん絶好調!!いつもより余計に回っています。
うさ子はそんなつむりちゃんを見て何故かだんだんいたたまれなくなってきました。てゆーか泣けてしまいました。
「いいの、もういいの。つむりちゃん、もういいのよ」うさ子はつむりちゃんをきつく抱きしめました。
うさ子はそのままつむりちゃんを吸収してしまいました。おかげでしわしわです。
っていうか、老婆なのでもともとしわしわです。
あまりのしわしわさにうさ子もしわしわになってしまいました。
身の危険を感じ、うさ子はしわしわをつむりちゃんに返しました。と思ったらカウンターではねかえされました。
2乗倍されたのでしわしわすぎて目がどこかわかりません。
「あぁ…。目が…目が見えない」うさ子は部屋をふらつきました。
壁に今にもぶつかりそうなその時です!!奇跡がおきました。
そう、うさ子は窮地に立たされた時、一度だけミラクルパワー(死語)を出すのです。
うさ子は半透明になり、壁の中に溶け込んでいきました。
うさ子は闇の世界に葬られ(?)、つむりちゃんは1人取り残されてしまいました。
でも、つむりちゃんは悲しんだりしません。だって…
つむりちゃんは「弐代目、うさ子蔵」として、しあわせに生きることになったんですもの。