- 2008/08/24
- テキスト
T-023
今日は雲ひとつない良い天気。なのにうさ子は大変ご機嫌ななめです。
それもそのはず、目がめちゃくちゃかゆいのです。「きー!!花粉症なんてイヤー!!」
うさ子の家にはゴーグルはおろか、マスクすらないのです。そこでうさ子はマスクを探しに出かけました。
うさ子のマスクは、普通のマスクでは花粉症の防衛にはならないのです。
仕方がないので、先日防衛したチャンピオンベルトを使うことにしました。
「う~ん。ベストフィット♪」でも通気性最悪なので呼吸できません。
「このベルトはもうダメね」うさ子は新しいベルトを奪いに出かけました。
手はじめに、カンガルーのイノウエ君が持つ、ライト級のベルトを奪いに行きました。
「手を上げて、おとなしくそのチャンピ『ョ』んベルト、渡しなさい!」うさ子はささやき
をもらいました。イノウエ君は、ささやきのライト級現チャンピョンなのです。
「そう簡単には渡さんにょーー!!」イノウエ君はおもむろにカスタネットを取り出しました。
「ふっ、それはお見通しよ!」うさ子はトライアングルを出しました。「むぅ、やるな!」
こうして打楽器によるやかましい対戦がはじまりました。うさ子が優勢のようです。
「くっ…なかなかやりおるわい…」イノウエ君は老いた口調で長い台詞のような舌打ちをしました。
「ていうか楽器でささやきが聞こえないわよ!」うさ子は怒り
トライアングルをイノウエ君のカスタネットに投げつけました。次はアカペラ対決のようです。
「どう?あなたにこれができて?」うさ子はドラムセットを鳴らしはじめました。アカペラで。
「んなもん、ワシの十八番じゃい!」イノウエ君はボイスパーカッションで対抗しました。うさ子はたじろぎました。
イノウエ君は3分ボイパをやり続けましたが、おもいっきり舌をかんでしまいました。調子こいてたようです。
「ふふっ。これならベルトは私のものになりそうね」うさ子はほくそえみましたが
イノウエ君の周りを親衛隊が取り囲んでいます。うさ子もこれでは手が出せません。
手が出ないかわりに足が、目が、口が、うなじが、愛が出ました。親衛隊もイチコロです。
もだえ倒れる親衛隊の中にシラフで立つ影が一つ!…言わずもがなのイノウエ君です。
イノウエ君は親衛隊をうさ子にとられてだだっ子になっていました。
「うおりゃー!!だだキック!!」…だだとは、イノウエ君の心のヒーロー。おじいちゃんです。
うさ子は親衛隊を盾にして防御しました。
しかし防御しきれず、うさ子似もダメージです。「やったわね~!」
「そっちがそれならこっちはウダチョーップ!!」ウダとはうさ子の耳に住む微生物の名です。
「やられた…まさかウダ様の技をマスターしておられたとは…」イノウエ君は急に卑屈になりました。
だだとウダは実は師弟関係だったのです。お約束ですね。
「ウダ様の力をものにしているのなら仕方ない」イノウエ君はチャンピ『ョ』ンベルトをはずしました。
ベルトをはずしたとたん、イノウエ君は突然マッチョな身体(ボデー)に変身しました。
うさ子はベルトをうけとり、口にあてました。その途端!
うさ子は木端微塵に飛び散りました。むしろうさ子がミジンコになりました。
それを見たイノウエ君は、ほほを赤らめながら帰路についたのでした。