- 2008/09/18
- テキスト
T-048
ある日うさ子は飛行機に乗って空の旅を満喫していました。今まで過ごして来た土地と思い出を残して…
「何か忘れ物をした気がするわね…」ぼんやり雲を見つめていると、後ろから声が。
「おーい、置いていくなYO!」なんと、うさ子の忘れ物のDJうさ子が、泣きながら訴えてきました
「あんた…、あんたは忘れたんじゃなくって、忘れたいのよ!もう顔も見たくないわ!何処へでもお消え!」うさ子はとても冷たく接しました。
「そんな…!」泣きながらDJうさ子は飛び上がりました。そして天井に激突☆
DJうさ子はしばらく頭を押さえていましたが、あまりに痛かったのか、逆ギレして、うさ子を
痛めつけるために、座席に備えてあったもしものためのビニール袋を奪ってしまいました。
「ああん!あとで食べようと思ってたのに!」うさ子は嘆き悲しみそして踊り狂います。
その激しい腰使いで、うさ子は、飛行機のカベを突き破って下へ落ちていきました。
上空1万メートルから落下したうさ子、しかし落下している間ヒマなので、
歌ってみました。
『いいい日旅達』を歌い終わり、満足気なうさ子。下を見ると、南の島が見えてきました。
「ああ、あの島、畑があるところを見ると無人島じゃあないみたいね…」安心するうさ子。
安心したのもつかの間、うさ子は海へ。海底へ。
「ブクブクブク…」うさ子は言いました。「目標を外れてしまったワ…ぶくぶく」
「高いところから落ちちゃったから深いところまで来ちゃったわ、これ以上深く潜っちゃうと危ないわ、早く上がらないと」やや焦るうさ子。
しかし焦れば焦るほど、もがけばもがくほど、ウジョればウジョるほど、深く深く沈んでいきます。
というのも、このうさ子は、107匹に1匹の割合で生まれるカナヅチうさ子だったのです。ややレアです。
「ああ、もう息が続かないわ、アタシ、こんなところで死ぬなんてイヤぁぁぁ」喋れば喋るほど息が続かなくなることに気付いていません。
と、そのとき!うさ子に奇跡が起こりました。なんと、背中にエラが出来たのです!!
「コレで呼吸ができるわ!ブクブク」そのかわり語尾に「ブクブク」がついてしまいましたが。
「折角だし、このまま海の中でも探検してみようかしら、ブクブク」嬉しいハプニングにうさ子は上機嫌です。
あまりに上機嫌オーラを出していたために、浮かび上がってしまいました。「くう、いつも思い通りにいかない…ブクブク」
そう言っているうちに、うさ子は海面から飛び出してしまいました。
それでもまだ上機嫌オーラの残っているうさ子は今度は遥か上空へ。
そして宇宙へ。
宇宙へ出てみると、すっかり宇宙は様変わりしていました。
「時代の流れって、酷よね…。でも、やっぱり私も変わらなきゃ!」とうさ子は前向きに自分を励ましました。
すると横にうんうん、とうなずく人影が。懐かしいその人物を見て、額に涙を浮かべるうさ子。
「アレは…DJうさ子じゃない!!」
「君がなろうと思えば、何にでもなれるのさ!」
「そうね!」力強くうなづくうさ子。その瞬間、うさ子は…DJうさ子になってしまったのです。
こうして、DJうさ子になったうさ子は、『2匹のDJうさ子』の名前で、宇宙にDJシーンを巻き起こすのでした。
~FIN~