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T-062

「いけなーい!もうこんな時間!」新妻のひさ子は夕方になってまだ買い物に行ってないことに気付きました。
 
「まあいっか、たしか蔵に保存うさ子があったハズ」ひさ子は新妻ながら慣れたヨウスで蔵に向かいます。
 
スキップしながら。
 
蔵に入ってうさ子の在庫を確認するひさ子。「えーっと、うさ子、うさ子…あ、いっけなーい、コレで最後だわ、今度継ぎ足しておかなきゃ!」
 
しかし最後のうさ子だと思ったものは、実はうさ子ではありませんでした。
 
なんと、うさ子のニセモノ、憂さ子なのです。
 
「ダメじゃー…、それは、ワシが熟成させてとっておいた憂さ子じゃー…」「お義父さん!?」いつの間にかひさ子の義理の父、基夫が立っていました。
 
「あの、それが無いと今夜の夕飯が…」恐る恐る交渉をするひさ子。しかし義父は
 
「断るー!」と叫びました。どうやら聞く耳を持っていないようです。
 
義父に困り果てたひさ子はふと天を仰ぎました。するとそこには
 
大量のうさ子が。
 
もっさりと くんずほぐれつ ひしめきあっていました。どうりで空が暗いわけです。
 
「キャアアー!!」と恐怖するひさ子、しかしコレを利用しない手は無いと考え、
 
巧みなジャンプでうさ子をキャッチし、そのまま義父にスマッシュヒット!連投!連投!
 
「イタ、イタタタタ!」義父は意外に打たれ弱かったようです。それもそのはず。義父は
 
貧弱の化身、ヒン・ジャック・ガリバーの生まれかわりだったのです!
 
と思ったらハッタリでした!
 
「やったかしら…?」ひさ子は虫の息になった義父をのぞきこみました。すると、どうしたことでしょう!!義父はみるみるうちにうさ子の姿に。
 
「随分へっぴり腰になったものね、ひさ子!!」右手の人差し指を一直線に向けてくるそのうさ子は、全身に産毛を生やしていました。
 
「まだ毛も生え揃ってないうさ子がエラそうに!」ひさ子は生きうさ子を見ると狩る気が満々になるのです。
 
ひさ子は楽しそうに素振りをしています。しかし、楽しそうな動きとは裏腹に、表情は般若のようです。
 
「ちょ、何よひさ子、高校ん時じゃアタシに頭が上がらなかったってのに、その態度は…!?」うさ子は友人の変貌ぶりに驚きが隠せません
 
光ったと同時に、うさ子に変化が起きていました。なんと!うさ子のうぶ毛が
 
えもいわれぬ柔らかな感触を持つしなやかな毛へと変化を遂げたのです
 
「…伝説のやわらかい毛…!」ひさ子は無意識につぶやきます。
 
「そうよ、間違いないわ!だって、ほら、手触りが違う!」その毛を触りながら、ひさ子は新たな感情が芽生えてきました。
 
「何よ!人を伝説呼ばわりして!伝説伝説って、アタシゃ平凡な暮らしが良いのよ!ホントいちいち勘に触る子ね!!」うさ子が怒髪天を突いたその時
 
天が割れました。
 
ぱっくりと。
 
その割れ目からなんと現れたのは、金色の光り輝く
 
うさ子でした。
 
「悟りなさい…」金色うさ子はこの世の全てを知ったかぶっている口調で言いました。
 
「こ、今度は伝説にも曖昧にしか記されていない、うさ子界のお釈迦様!」余りに感激しすぎたひさ子は思わず、
 
その場から逃げ出したい衝動にかられました。何を言ってもうさ子にツッコまれる気がしたのです。
 
ひさ子は力の限り逃げました。シヴヤの裏通りを抜け、アサクサデラの人形焼きに化け、スガーモの煙を浴び、とにかく必至にいろいろな所ヘと逃げ回りました。
 
「ココまで来ればもう大丈夫ね…!」安心したひさ子が腰を落ち着けた所は、なんと…!
 
うさ釈迦の耳の上でした。
 
「しまったッツ!逃げ切れてないわッツ!!」ひさ子は途方に暮れました。
 
そんなひさ子にうさ釈迦は穏やかに、母のような愛情を持って語りかけます。「貴女もココで、悟りを開くのです…」
 
「断るー!」ひさ子は逃げました。
 
ふたりのやりとりを見てうさ子は憤慨しました。それもそのはず。
 
うさ子は『貴方の悟りをゆりかごから墓場までご提供する、【うさ子サトリグループ】』の総帥だったのです。
 
やっぱりハッタリでした。「いいかげんにしてください、パパうさ子!」「お、お前、やっと…パパうさ子と…呼んでくれたのか」
 
「もう現実へ帰ってらっしゃいよ!そして、家に帰りましょう。ダーリンが家でまっているワ!」ひさ子はうさ子を諭しました。
 
「…、アタシ、真っ当に生きるわ、誰より自分のために!」うなだれていた顔を上げ、すっかり青くなった空を見上げながらうさ子は言いました。
 
いっぱいいたうさ子はひさ子がちゃっかり蔵に保存してました。「そうね!」ひさ子はうさ子の手を引いて、家に帰りました。おしまい。

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