- 2008/11/01
- テキスト
T-092
「あー、おいしい!」うさ子は23杯目のラーメンを飲み干しながらイイ顔で叫びました。
うさ子は今、友達と一緒に全宇宙ラーメンまつりに来ています。
そこには有名なラーメン店がたくさん並んでいるのでした。しかし、一店だけうどん屋さんが混じってました。
そのうどん屋さんの看板には「新作うどんを試食された方はタダ」と書いてありました。
それにつられてそのうどん屋に入りましたが、新作のうどんはどう見てもラーメンでした。
うどんでもラーメンでもどっちでもよくなったうさ子はそのラーメンを味わって食べてしまいました。
うどん屋のおじさんが、「おいしかったかい?」と笑顔で聞いてきました。
その笑顔の裏に隠された悲しい過去……など、うさ子には関係ありません。うさ子は、満面の笑みでそっと言いました。
そっとかつ高速で言ったため、おじさんは聞き取れませんでした。うさ子はおじさんに、あえて試練をあたえているのです。
おじさんはうさ子が試練を与えているなど知りません。逆ギレしてしまいました。
うさ子は逆ギレを恐れ、0コンマ1秒に1回の速さで謝りつづけました。
そして音速に達したうさ子から衝撃波が発生し、ラーメンまつりの一角がガレキに。うさ子自身もボロボロです。
そんなボロボロのうさ子を見かねたのか、おじさんはエプロンのポケットから
万札を出してうさ子にビンタをくれました。
屈辱です。なのに、なんだかリッチな気分です。うさ子はすっかりお金に目がくらんでしまっていました。
すると、お金の神が出てきてうさ子にささやきました。
うさ子は、とっさの判断でおじさんが何か言う前にボディーに重い一発を入れてやりました。
「若いの…アンタ…やるな…グフッ」といいながら、おじさんは
「スキあり!!」と叫び、うさ子に最後の一発をくらわしてやりました。
うさ子に捨て身の一撃をし、スッキリしたおじさんは家に帰っていきました。
「そうは問屋が卸さんぞ!」そのままおじさんと、電流爆破デスマッチに突入します。
うさ子の先制攻撃!が、おじさんはそれを予想して反復横飛びで回避します。
それに対抗して、うさ子も必死にほふく前進をします。
そしてうさ子はおじさんに飛び膝蹴りをくらわしました
おじさんはヒラリと身をかわすと叫びました。「変身!」
おじさんの頭には変身カツラがありました。叫んだ瞬間、そこから眩い光が無数に出てきます。
「眩しい!眩しすぎるわ!」うさ子は叫びました。その瞬間、
おじさんは死滅しました。
あまりに急な展開に、客席からブーイングと共に様々なモノが投げ込まれてきます。
うさ子も一緒に投げまくってます。
そしていつしか、全員一丸となってモノを投げまくる新たな祭りへと発展していきました。おじさんの急死やブーイングなど過去の事です。
おじさんは救急車に運ばれて行きます。「あんたぁ!!」おじさんの奥さんが突然現れ、
そして消滅しました。
めくるめく消滅の世界はとどまるところを知りません。
そしてついに世界が消滅してしまいました。
しかし、うさ子だけが残っていました。
(あー…どうしようかしら…。)うさ子は考えた挙げ句に…
ラーメンまつり会場を移すことをお金の神様に提案しようと心に決めるのでした。