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T-100

うさ子は3日ほど前から梅干の種と乱闘を繰り広げていました。種の中のテンジン様の顔を、どうしても拝みたかったのです。
 
梅干しの種は身体が小さいのを最大限に活用し、うさ子の攻撃をヒラリヒラリと避けています。「種のくせに!!」
 
そんな種もだんだんと疲れの色が見え始めました。うさ子はそれを逃がしません。
 
「今だ!必殺、ボンジョビジョビジョビ丸・参上!!!」なにやら必殺技を繰り出しました。
 
種はぱっくり割れましたが、中にテンジン様の姿はありませんでした。
 
あまりのショックに、うさ子は目からポロポロと色々流しました。
 
涙の内の一粒が種の中に染み込むと突然!
 
テンジン様ではなく天使様が姿を現しました。「お前の願いを一つだけ…
 
かなえるつもりだったけど、頭痛がひどいので帰ります。」というと天使様は右手を残して消えてしまいました。
 
さらにショックを受けたうさ子は、耳や口からもポロポロと色々流しました。
 
えんどう豆やそら豆…さらには枝豆まで!ビーンズカーニバルの始まりです!!
 
カーニバルなだけに、豆たちは恐ろしく濃いメイクで、腰にはダチョウのごとく羽根をつけていました。
 
「うひょおおおぉう!」「きゃっほおおぉおう!」奇声を上げ始めました。
 
そして腰の羽をブチーとむしりとると、そのままゴミ箱に捨てる豆たち。
 
うさ子はもったいないなと思いましたが、見てみぬふりを決め込むことにしました。
 
するとその時、ゴミ箱から声が…!「あなたが落としたものは金の羽ですか、それとも銀の羽ですか?」
 
なんとそのゴミ箱から小汚いおばあさんが両手に金と銀の羽を持ち頭に普通の羽を乗せて現れました。
 
「両方です。」うさ子は明らかに嘘をついていますってな表情で答えました。
 
おばあさんはうさ子の両の耳にそれぞれ羽をブッ刺し、満足げな顔で天へと召されていきました。
 
羽はうさ子の耳から栄養を吸い取って、すくすく元気に育っていきました。
 
そのうちその羽にうさ子の顔が移植されていき、そして羽は歌います。
 
一体のうさ子と分裂した二体の羽うさ子。たった3人での大合唱です。
 
その歌声に心打たれたサラリーマンはそっと箱を置いていきました。暮れの元気なご挨拶…お歳暮です。
 
中身は羽毛布団でした。
 
うさ子たちは布団をひきちぎり、羽毛をキレイに自分の腕に貼りつけました。ナウいオシャレを研究しているのです。
 
「うぅん。ナウでヤングな若者になるにはあと一歩。何かが足りないわね。」
 
そうです!!うさ子たちに足りなかったのは「男気」だったのです!!うさ子たちは2秒でひらめきました。
 
思い立ったが吉日。うさ子たちは男気を探しに行く事にしました。
 
最高の男気を求めて海とか山とかを越え、そこらの宝箱も開けまくりましたが、どうもしっくり来る男気は見つかりませんでした。
 
…と思ったら、足下に落ちていました。そしてついに、うさ子は男気溢れる若者に…!
 
 これまでの話、「うさ子の男気伝説」は出版化され、250か国で翻訳され大ベストセラーになりました。お近くの書店で好評発売中です。
 

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