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T-111

うさ子が尺八を吹いています。
 
ぶおー、ぶおー。と、村中に響き渡ります。
 
その音色はまるで春の夜の夢の如し。
 
それを聞きつけた隣国の女王が音色を聞きにきました。
 
「おぬしの音色で毒ヘビが死滅したというが、本当か?」
 
「惜しい、死んだのは毒マムシ三太夫です、女王」
 
「そうか…。是非私にその独そう的な音色を聞かせてくれ」
 
「無料とは言わないよな?女王ともあろうものが…」うさ子はゆさぶりをかけます。
 
「ならば世界に一つしかないと言われる、ミミズのツメを与えよう」
 
「物は要らない。お金しか信じていないから!」
 
うさ子は守銭奴。そして女王も守銭奴。今ここで激しい銭バトルが…!!!
 
「ゼ・ニ・キン!!ゼ・ニ・キン!!」ゼニキンコールが巻き起こります。
 
つまり、2人ともびんぼうです。
 
「ダツゼイ・アオーン!」女王が貧乏なのは脱税をするヒトが多いからです。
 
かわいそうな女王。その話を大臣から聞いたうさ子は同情しませんでした。
 
うさ子が貧しいのは、うさ子自身がニートだからです。物々交換は大嫌い。
 
「わしゃぁなぁ!莫大な借金をかかえとんじゃい!金よこせぇ!!」
 
「お前が税金払わないからだー!」女王は自国民に言いました。
 
「税金が高いんじゃわれー!!」国民は女王を袋にしました。女王の命はあと少しで切れそうです。
 
うさ子はあっさり命の糸をぷっつり切ってしまいました。
 
「女王ー!!!」うさ子は叫びます。
 
じょおう に うさこ の こえは もう とどかない。
 
うさ子は自分のしでかしたことを後悔していました。いいえ、後で悔やんでいました。
 
もしかしたら巻き上げられたかもしれない金について悔やんでいました。
 
うさ子は後悔のあまり寝込んでしまいました。
 
「あの収入があれば、何人のうさ子がやしなえるのだろう…」うさ子はうさ子国の女王なのです。
 
でも、チャランポランな国政をしていたので、追放されてしまっていました。
 
今では、すてき王が統治していて、すばらしく平和になっています。
 
そう、もううさ子に帰る場所は無いのです。
 
道端のキャベツで渇きを潤し、さらに憩う術なし。無法の荒野を往くうさ子。
 
うさ子が行き着いた先は、「ガン『タ』ーラ」。そう、愛の国です。
 
愛することは罪となる国です。町行く人々は皆、そっけなく、前以外を見ていません。
 
うさ子はこの国を独裁することに決めました。
 
そしてたくさん税金を取るのでした。

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