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T-141

ヒュールリーーー ヒュールリーーー
 
…と口で言いながら歩くうさ子。どうやら口笛ができないくせにカッコつけてるようです。
 
「ヒュルーリー、ヒュルーリー」苦し紛れに口頭でごまかすうさ子。微妙に間違ってます。
 
そのごまかしに、1人の男が腹を立てました。
 
口笛世界チャンピオン、ジョン3世です。
 
「キサマ、口笛をナメてるな?口だけに!」ジョン3世は笑えないダジャレ名人でもあるのです。
 
その称号が災いして、寒いギャグに手厳しいうさ子にも反感を買いました。
 
「じゃあ、お前おもしろいこと言ってみろよ。もしくは口笛を吹いてみろよ」
 
うさ子はジョンIIIに冷たく言い放ち、口頭笛を吹き続けています。
 
ジョンIIIは常に人の上に立っていたいので、口笛を吹きました。
 
その時です。うさ子はジョンIIIの口にパテを盛って封じ込めてしまいました。
 
「あなおそろしや」ジョンIII何人だよ。
 
5人いました。
 
うち1人は火星人です。
 
あとの4人は故人です。
 
パテ封じを逃れたジョン連中は、総がかりでうさ子をとっちめることに。
 
「イジメかっこ悪い!」急にジョンのひとりが正義漢ぶりだしました。
 
フルボッコの対象が正義漢ジョンに向けられました。1人立ち向かうジョン。
 
正義は悪の前に倒れました。
 
倒れたジョンにこんもりとパテを盛ります。もう、パテでしかありません。
 
固まったパテが逆襲してきました。これはヤバイ。パテジョンだ!!!
 
うさ子はジョンをかばいました。失敗しました。
 
パテジョンの暴走は隣町にまでおよびました。
 
もうすべてパテにしか見えません。
 
うすれゆく意識の中、正義ジョンは最後の力を振り絞って、パテを溶かしだしました。
 
パテドリンクの完成。
 
パテドリンクは10円の叩き売り。売り上げは上々。株価も上場。ジョンはひどい目に遭いました。
 
しかもパテドリンクを飲んだ人が次々に倒れ、ジョンは一気に悪者です。
 
町を歩けばパテドリンクをぶつけられ、「パテばっかりか!!!」とののしられる始末。
 
仕方が無いので全てのパテドリンクを飲み干し、吸収しました。
 
ヒュールリー ヒュールリー 口笛が聞こえます。
 
うさ子の口頭笛です。やっぱり口笛はふけない様子。
 
ジョンがうさ子にパテで作った口型笛をそっと手渡します。
 
2人の間に清々しい風が吹きました。もう、口笛の音色は寂しげではありません。
 
パテのほのかな風味が、いつまでも空へただよい続けました。

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