- 2008/12/24
- テキスト
T-145
『ポィーン』うさ子はどこからか聞こえる音に耳をすませています。
ふと平原を見てみると、配管工のおっさんがジャンプをしています。
「マンマミ~ア!!」
『ティウンティウンティウン』横では全身青タイツの人がどうにかなっています。
『テッテッテッテッテーレーテッテッテッテッテーレー』青いハリネズミがUFOキャッチャーを睨んでいます。
『テレレレーン』誰かがコンパスを見つけたようです。
『クニャコロ~ン』音は次第に大きさを増していきます。
『グワァラゴァアキィィィィン!!!』ついに公共物を破壊するまでに…!!
『グリュッピー』そして遠くの方で卵を産む音が聞こえました。
「もう!みんなシャラップ!!」うさ子の耳は、方々で聞こえる音により、レモン味になりました。
ちょっぴりこんにゃくの味もします。
所変わって、カムチャッカ半島。今日は年に一度の収穫祭です。
半裸のしゃくれおじさんが、作物を16連打でもぎ取ります。さすが名人。
名人の奥さんが15連鎖で料理して、振舞ってくれました。
トマト、トマト、ニンジン。ここでお邪魔ナスが降ってきてゲームオーバー
寸前で持ちこたえています。さすが名人の奥さん、タダでは死にません。
むしろ、どんどん漬けていきます。ハイスピードに漬けていきます。さすがです。
妻はできたての漬け物を遠くへ投げました。それを、うさ子がすかさず口でキャッチしました。
うさ子は漬け物を奥さんのもとへ返しました。キャッチアンドリリースです。
奥さんはこれにたいそう失望しました。カムチャッカでは、食べ物を返されることは「嫌い」の意志表示だからです。
うさ子の国では食べ物を返すことは「マズイ」の意志表示です。
にらみ合う奥さんとうさ子。平和な島に暗雲がたちこめました。
暗雲は恵みの雨をもたらし、島では大量の農作物が育ちました。
二人のムードをよそに、島には平和が訪れたのですが…。
奥さんとうさ子のいがみ合うパワーが、眠れるドラゴンを今まさに呼び覚まそうとしていました。
その間に割って入った配管工のおっさん。火花をくらってティウンティウンしました。
それにあおられ、他の人たちもティウンティウンしました。「皆の者!ティウンティウン祭りじゃ!!」
みんなティウンティウンして、島には奥さんとうさ子だけが残りました。
うさ子はそのままですが、奥さんは旦那さんを失ったショックで、萎えてしまいました。
頭の上の花が萎えてしまったのです。それは世界を救うキー。うさ子は世界のために
引っこ抜いて叩きつけました。うさ子の脳は魔王的です。
「よくぞここまで来たな」と魔王。よくぞここまで来た…。うさ子は自問自答をしました。
その言葉で全ての呪縛から解放されたうさ子は、満足げに野に帰っていきました。