- 2008/09/08
- テキスト
T-038
うさ子が名刺を飛ばしています。必殺技「名刺スプラッシュ」を完成させるための特訓のようです。
昨日は一度に10人の人間に名刺を飛ばし配る技を編み出しました。
さて、今日は何人の人間に一度に飛ばし配ることができるのでしょうか? ここは東京…
うさ子は渋谷に繰り出しました。本当は新宿アルタでタモリに名刺を飛ばし配ろうとしたのですが、
今日は土曜日なのでタモリはアルタにいなかったのです。というわけで渋谷でうさ子は…
片足をあげてくるくる回り、とりあえず人集めを始めました。くるくるくるくる……
その軽やかなターンに、人は酔いしれず、そのかわりにカラスがたくさん集まってきました。
「しっしっ!あっちへお行き。私はエリート社員(♂)にしか用はないのよ」うさ子はカラスを追い払って
今度は片手逆立ちでくるくる回り始めました。さあ…するとどうでしょう…今度は
追い払ったはずのカラスがダンスを踊り始めました。タップダンスです。
「しっしっ!あっちへお行き。私はエリート部長(♂)にしか用はないのよ」と言い、カラスに石をぶつけました。
…が、しかし。カラスがタップダンスを踊り始めたのを見て、人間たちが集まってきました。
うさ子は、これを見て闘争心を燃えたぎらせました。うさ子はいい感じに焼き上がりました。ミディアムです。
カラスたちに対抗すべく、うさ子はコサックダンスを踊りました(逆立ちで)。
すると、焼きあがっていてしかもコサックダンスしてるうさ子の手から、名刺が次から次へと飛んでいくではありませんか!!
カラスたちは、その光景を見て、ちょっと泣けてしまいました。というのも、名刺は全部カラスに命中していたのです!!
カラスの周りに集まっていた人達はカラスを気の毒に思い、刺さった名刺を抜いてあげました。
こうして一度に何十人もの人間に名刺が行き渡ったのです。
うさ子はなんだか悲しくなりました。それはカラスが羨ましいからではなく、焼き上がりすぎて、黒コゲの自分の情けなさからです。
そんなうさ子を見た人間たちは、うさ子の体にこびりついたコゲを、名刺でふき取ってあげました。
中にはずっと待ち焦がれていたエリート社員(♂)や、エリート部長(♂)の姿もありました。
うさ子はそんな人間たちのあたたかみに触れて、思わず黄金色に光りました。
黄金色のうさ子を見たエリート部長(♂)は思わず「君、採用!!」と叫び、握手を交わしました。
こうしてうさ子は、必殺技「名刺スプラッシュ」を完成させることもなく、勤め先が決まりました。
Fin