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T-038

うさ子が名刺を飛ばしています。必殺技「名刺スプラッシュ」を完成させるための特訓のようです。
 
昨日は一度に10人の人間に名刺を飛ばし配る技を編み出しました。
 
さて、今日は何人の人間に一度に飛ばし配ることができるのでしょうか? ここは東京…
 
うさ子は渋谷に繰り出しました。本当は新宿アルタでタモリに名刺を飛ばし配ろうとしたのですが、
 
今日は土曜日なのでタモリはアルタにいなかったのです。というわけで渋谷でうさ子は…
 
片足をあげてくるくる回り、とりあえず人集めを始めました。くるくるくるくる……
 
その軽やかなターンに、人は酔いしれず、そのかわりにカラスがたくさん集まってきました。
 
「しっしっ!あっちへお行き。私はエリート社員(♂)にしか用はないのよ」うさ子はカラスを追い払って
 
今度は片手逆立ちでくるくる回り始めました。さあ…するとどうでしょう…今度は
 
追い払ったはずのカラスがダンスを踊り始めました。タップダンスです。
 
「しっしっ!あっちへお行き。私はエリート部長(♂)にしか用はないのよ」と言い、カラスに石をぶつけました。
 
…が、しかし。カラスがタップダンスを踊り始めたのを見て、人間たちが集まってきました。
 
うさ子は、これを見て闘争心を燃えたぎらせました。うさ子はいい感じに焼き上がりました。ミディアムです。
 
カラスたちに対抗すべく、うさ子はコサックダンスを踊りました(逆立ちで)。
 
すると、焼きあがっていてしかもコサックダンスしてるうさ子の手から、名刺が次から次へと飛んでいくではありませんか!!
 
カラスたちは、その光景を見て、ちょっと泣けてしまいました。というのも、名刺は全部カラスに命中していたのです!!
 
カラスの周りに集まっていた人達はカラスを気の毒に思い、刺さった名刺を抜いてあげました。
 
こうして一度に何十人もの人間に名刺が行き渡ったのです。
 
うさ子はなんだか悲しくなりました。それはカラスが羨ましいからではなく、焼き上がりすぎて、黒コゲの自分の情けなさからです。
 
そんなうさ子を見た人間たちは、うさ子の体にこびりついたコゲを、名刺でふき取ってあげました。
 
中にはずっと待ち焦がれていたエリート社員(♂)や、エリート部長(♂)の姿もありました。
 
うさ子はそんな人間たちのあたたかみに触れて、思わず黄金色に光りました。
 
黄金色のうさ子を見たエリート部長(♂)は思わず「君、採用!!」と叫び、握手を交わしました。
 
こうしてうさ子は、必殺技「名刺スプラッシュ」を完成させることもなく、勤め先が決まりました。
 
Fin

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