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T-042

小さい木の上で、オカリナを吹くうさ子がいました。
 
うさ子はギターからボイパまで楽器系統は何でもござれです。
 
今日は一週間後に“オカリナ選手大会”をひかえているため、オカリナ吹きに励むうさ子。
 
空飛ぶ小鳥達や飛行船、そしてばあさんまで耳をかたむけます。
 
「はふー、こりゃ心がすさんで…もとい洗われるねー」ばあさんはもうろくしてるようです。
 
「洗われる…はっ、そうだ、洗わなくちゃ!」ばあさんは泥棒から足を洗いました。
 
しかし悪に手を染めていたこともあり、手は汚いままです。イヤン。
 
どれくらい汚いかというと、錆びた10円玉くらいです。あまりたいしたことないです。
 
しかし10円玉が錆びると猛毒を持つため、わりと侮れません。
 
でも10円玉のサビはレモン水で取れるので大丈夫です。
 
しかし、ばあさんのサビは年季の入ったものなので、並のレモン水では落ちません。
 
しょうがないのでばあさんは、うさ子大明神にサビの取り方を尋ねました。
 
「そんなの寿司屋の大将に『サビ抜いて』と言えばいいのよ?」ばあさんは寿司屋に向かいました。
 
寿司屋はレモンを栽培しており、最近ではレモン寿司しか出していませんでした。
 
ばあさんは、寿司屋の扉を思いっきり開けました。「たのもー!」すると
 
ばあさん以上に寿司屋はさびれていたので、ばあさんは
 
逃げました。寿司屋は地を離れ、ばあさんを追いかけてきました。
 
よく見ると店の下に脚が見えます。しかも2本しかありません。
 
「うっわー、すんごーくバランスわるーい」ずっと見ていたうさ子は妙にかわいらしくなってます。
 
「かわいこぶりっ子してないで助けろやー」「んもうしょうがないわね~」うさ子は寝ています。
 
三年寝たうさ子が目覚めた時、ばあさんはいなくなっていました。
 
と思ったら寿司屋の中から出てきました。「らっしゃい、何にぎる?」ばあさんは
 
寿司屋で修行を積んで、1人前の板前になっていました。
 
「じゃあ、カレーの軍艦巻きを♪」うさ子の大好物はカレーライスです。
 
「あいよ!軍艦巻きお待ち!!」頼んで1秒で目の前に出てきました。
 
しかし、出てきたのはカレーではなく魚のカレイの軍艦巻きでした。
 
「そうそう、左ヒラメに右カレイといってってこれはカレイじゃなくヒラメよー!!」うさ子はお茶をばあさんにぶちまけました。
 
「美味い…!!これは伝説のお茶…!」持参したお茶を褒められたうさ子は
 
有頂天のあまり、空の彼方まで昇天していきました。
 
「さらば、うさ子よ…!」うさ子の最期を看取ったばあさんは、また一つサビが少なくなりましたとさ。
 
the end

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