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T-053

今日のうさ子は一味違います。リップが塗りたくられているからです。
 
色は赤と青のマーブル模様。
 
しかし体がレインボーなので、いまいちリップの役目を果たしていません。
 
「んーなんだか色づきが悪いわねー。メロンの生き血でも足そうかしらー?」
 
テントの中を調べてみても、それっぽいものはありません。仕方なく
 
己の生き血を使うことにしました。早速リストカットにチャレンジ♪
 
しかし、切っても切っても、ものすごい治癒力で、みるみるうちに治ってしまいます。
 
「あぁーんうまくいかない!!こーなったら魔法で切ってやる『ヒトミ・キレイ』ッ」
 
切れたのは、手首ではなく、うさ子のコシのキレでした。
 
でもうさ子はコシが切れたことに気づいていません。血しぶきは止むことを知りません。
 
気づいたときは、もう血がほとんど残ってませんでした。いやんなっちゃう。
 
いやになったついでに、3軒先の森田さんにイヤミを言いに出かけることにしました。
 
血がほとんど残っていないので、テントの中のトマトジュースで補充をしつつね…。
 
「ちょっと森田さーん。トマトジュース余ってない?体内の血液が足りなくなっちゃってぇー」
 
「アー?ンー、ショガナイネー。タシカ、もろへいやじゅーすガ、ココニ…」
 
「あんた!!いつも言ってんでしょ!!うちの町内は、NO!!モロヘイヤなの!!」
 
とは言ったものの、背に腹は代えられないので、うさ子は誠意を見せつつ
 
「モロヘイヤの事は許してあげるわ。でも、血液の代わりになるものがないなら、お前を取って食う」
 
ひどく恐ろしい顔でスゴみました。
 
「やめてください。この家宝の『マジカ・マジダ・シマダ』Jr.をあげるから、勘弁してよ」
 
「うん」と言い、うさ子は森田さんににっこりとほほえみました。その時、
 
うさ子のトマト…血液の充電が切れ、顔面からぶっ倒れました。
 
ポフン。あまりにエネルギーが抜けているため、ほぼ干からびています。
 
「うさ子さーん!!」森田は叫びつつもくるくる回り1人チークダンスを踊っています。
 
そして、フィニッシュ!「1曲私と踊りませんか?」うさ子は、全ての力をふりしぼり、
 
「それどころじゃねえんじゃボケェーーーー」と、ねりちゃぎを入れました。
 
ポフン。やっぱり効きません。森田はキョトンとしています。
 
「じゃあ、昨日屋根裏で見つけた54年前のラクダの血をうさ子さんに入れてみよう!!」
 
するとどうでしょう。みるみるうちにうさ子は元気になり、浜辺のNICEGUYをひとり占めに。
 
こうしてうさ子は、リップ無しで宇宙一の魅力を手に入れることができたのでした。

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