- 2008/09/23
- テキスト
T-053
今日のうさ子は一味違います。リップが塗りたくられているからです。
色は赤と青のマーブル模様。
しかし体がレインボーなので、いまいちリップの役目を果たしていません。
「んーなんだか色づきが悪いわねー。メロンの生き血でも足そうかしらー?」
テントの中を調べてみても、それっぽいものはありません。仕方なく
己の生き血を使うことにしました。早速リストカットにチャレンジ♪
しかし、切っても切っても、ものすごい治癒力で、みるみるうちに治ってしまいます。
「あぁーんうまくいかない!!こーなったら魔法で切ってやる『ヒトミ・キレイ』ッ」
切れたのは、手首ではなく、うさ子のコシのキレでした。
でもうさ子はコシが切れたことに気づいていません。血しぶきは止むことを知りません。
気づいたときは、もう血がほとんど残ってませんでした。いやんなっちゃう。
いやになったついでに、3軒先の森田さんにイヤミを言いに出かけることにしました。
血がほとんど残っていないので、テントの中のトマトジュースで補充をしつつね…。
「ちょっと森田さーん。トマトジュース余ってない?体内の血液が足りなくなっちゃってぇー」
「アー?ンー、ショガナイネー。タシカ、もろへいやじゅーすガ、ココニ…」
「あんた!!いつも言ってんでしょ!!うちの町内は、NO!!モロヘイヤなの!!」
とは言ったものの、背に腹は代えられないので、うさ子は誠意を見せつつ
「モロヘイヤの事は許してあげるわ。でも、血液の代わりになるものがないなら、お前を取って食う」
ひどく恐ろしい顔でスゴみました。
「やめてください。この家宝の『マジカ・マジダ・シマダ』Jr.をあげるから、勘弁してよ」
「うん」と言い、うさ子は森田さんににっこりとほほえみました。その時、
うさ子のトマト…血液の充電が切れ、顔面からぶっ倒れました。
ポフン。あまりにエネルギーが抜けているため、ほぼ干からびています。
「うさ子さーん!!」森田は叫びつつもくるくる回り1人チークダンスを踊っています。
そして、フィニッシュ!「1曲私と踊りませんか?」うさ子は、全ての力をふりしぼり、
「それどころじゃねえんじゃボケェーーーー」と、ねりちゃぎを入れました。
ポフン。やっぱり効きません。森田はキョトンとしています。
「じゃあ、昨日屋根裏で見つけた54年前のラクダの血をうさ子さんに入れてみよう!!」
するとどうでしょう。みるみるうちにうさ子は元気になり、浜辺のNICEGUYをひとり占めに。
こうしてうさ子は、リップ無しで宇宙一の魅力を手に入れることができたのでした。