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T-068

うさ子がお庭でブラジル体操をしています。
 
右手には、コーヒー豆を作り続けて50年の日系2世、田中さんの入れたコーヒーを持ちながら
 
優雅にブレイクタイムを楽しんでいるケムシがいます。うさ子はケムシにそっと
 
「邪魔」とつぶやきました。そして プチッ と。さらにコーヒーを奪います。
 
「アンタには分不相応よ、このコーヒーは。虫ふぜいが飲んでいいシロモノじゃないわ」悪態をつくうさ子。
 
そしてコーヒーを一気飲みします。「トレビア~ン♪」
 
3オクターブ高い声でケムシは叫びました「あああ~よくも~。くらえ!虫の呪い!!」
 
ケムシは白い糸を吐きました。白い糸がうさ子の肢体に襲い掛かります。
 
うさ子も負けじと赤い糸を吐きました。2人の小指に絡みつく赤い糸。
 
しかしそこはそのテのベテランであるうさ子、赤い糸が付着した程度では心動かされません。
 
でもケムシはうさ子にフォーリンラブです。
 
「オラのよめさなってけろ」ケムシは泣いてます。ケムシに訪れた初めての本気の恋…。
 
うさ子は、あっさりお断りしました。「定員オーバーです。
 
ていうかアンタいっぱいいすぎよ」とうとう白い糸に話しかけるほどまで堕ちたうさ子。
 
そのまま世の中の不平不満をぶちまけます。
 
「赤い糸で結ばれたくらいでいい気になってんじゃないわよ!」うさ子の言葉にケムシはブレイクハート。
 
「ならば…一緒に死んでくれぇえ!!」ケムシはやばい方向に話を持って行きました!!
 
「やっぱりお断りよ。むしろアタシと一緒に踊りましょうよ!!2人でマイムマイムを!」
 
~♪~怪しげな曲が流れてきます。荒城の月みたいです。
 
悩ましげに、苦悶の表情で踊り続ける2人。
 
いつしか時を忘れたまま踊っていたうさ子が正気に戻ってケムシに…
 
そのままパンチ!ケムシはふっとびました。
 
「ひどいじゃないか!折角ダンスで2人の心が1つになりかけていたのに…」
 
「あはっいやだわ、本気になられても困るわよー」
 
そんなやりとりを見て悔しがる田中さん。どうやら痴話げんかと勘違いしたようです。
 
しっと魂が燃え上がる田中さん。そのまま燃えつきてしまいました。
 
田中さんの燃え尽きた後の灰で、うさ子はコーヒー栽培を始めることにしました。
 
「まずはコーヒー豆を3kgほど煮込んで」うさ子は間違えて料理本を見ています。
 
「そのまま一晩鍋を寝かせるわよ」と火を止めました。
 
そしてその鍋は永遠に開かれることはありませんでした。そう、永遠に…。

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