- 2008/10/28
- テキスト
T-088
ここは北極。極寒の地でもうさ子は薄着です。
だって、今日は年に一度の敬老の日ですもの。服なんか着てられません。
「心頭滅却すれば火もまた涼し!!寒さだって…あ、眠い…」うさ子の目は虚ろです。
お花畑が見えてきました。
死んだはずのおばあちゃんが「おいでおいで」と手招きしています。
「否!おばあちゃんがおいで!!」うさ子は会心の笑顔で招きかえしました。
おばあちゃんは生き返りました。
しかしお忘れなく。ここは極寒の地ですよ。感動の再開もつかの間、2人してガタガタガタガタ…
そんなとき「助けてあげてもいいけど?」高飛車な態度で通りすがりのコタツが言いました。
そして間発入れず「シカトしてんじゃねえよ!!」とコタツが言いました。
すぐキレる現代ッ子なコタツにお灸をすえるべく、おばあちゃんは力をため始めました。
どうやら世界中のみんなに力を分けてもらっているようです。
しかしコタツのお灸に火をともすには、力が100ミリバールほど足りません。
「みんな!もう少しだけでいいんだ!オラに力を分けてくれ!!」必死に訴えるおばあちゃん。気合いが入り過ぎているのか口調まで変わっています。
それは、おばあちゃんがかつて若かった頃の自分を思い出している証拠だったのです。
やがておばあちゃんの身体にみなぎるエナジー。おばあちゃんは筋肉隆々のマッスルボディに変身!
それは、おばあちゃんがかつて若かった頃の自分を思い出している証拠だったのです。
思い出した勢いで、コタツを流氷に放り込みます。きれたコタツがみるみる冷たくなっていきます。
その時うさ子が言いました。「待っておばあちゃん!そのコタツは…コタツはァッ!!…
裏返すと雀卓になるのよぉッッ…!」
衝撃の事実に、突然ギックリ腰で動けなくなるおばあちゃん。手に持った氷を落としてしまいました。
氷はこなごなに割れてしまいました。その塊たちがあまりにも美しかったので、おばあちゃんとうさ子は思わず魅入ってしまいました。
キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ…キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ……。「キラキラうるさいわ!」マッチョ2人がツッコみます。もちろんうさ子もマッチョですマッチョ。
氷の輝きに混じって輝く2人のキン肉は、見ている人がポッとするくらいエロティックな躍動感がありました。
筋肉がムチンと動くたび、1人、また1人とポエロ感に包まれていきます。
「ポ・エ・ロ!」ムチン「ポ・エ・ロ!」ムチン!…スタンディングオベーションです。
「今日はうさ子のコンサートに来てくれてありがとーう!」うさ子は感動の涙をながしています。勘違いもはなはだしいです。
つい勢い付いて、彗星のごとく芸能界に現れてみました。
さらに勢いで衝撃のデビューシングル『ポエロ・DE・サンバ』をリリース!!
しかし売れ行きはさっぱりでした。
そんな隠れた名作路線を行くうさ子を見たおばあちゃんは万人ウケを狙うことにしました。
その名も「ポエロ旅情」完全に演歌です。
今までが嘘のように売れまくり、嬉しさのあまりおばあちゃんの口から魂が…再び昇天の予感!?
おばあちゃんの魂が、うさ子の口へめがけて一直線。どうやらうさ子の体内へ侵入したようです。
するとうさ子はバーチャルガムを食べ始めました。もごもごした口の動きはまさに年寄りそのもの。
「ぷはあっ!」うさ子は吐き出したバーチャルガムを鳩に変えてしまいました。
「うおおー!すげぇー!」「もっとなんか出せー!」いつの間にやら野次馬達が集まっていたようです。
「ありがとう、ありがとう」うさ子とおばあちゃんは大量の花束を持ち涙を流しています。ラストコンサートです。
「さぁーコンサートの締めくくりに何か一言!せーの…」
「こんな塩辛い味噌汁でアタシを早死にさせる気かい!」 劇終