- 2008/12/16
- テキスト
T-137
今日のうさ子は家の中をひたすら探し物で走り回っています。
ついさっき50メートル走自己新記録を出してしまいました。
52秒です。これでも2秒ちぢめたのです。
「行こうぜ、ピリオドの彼方へー!」走ることに生きがいを感じ始めました。
しかし相手は英語の小論文。ピリオドだらけで苦戦の模様。
まるで障害物競走です。実際家の中も汚いのでリアルです。
最初の障害は身分の差でした。
打ちひしがれるうさ子。ああうさ子、あなたはどうしてうさ子なの?
鏡に向かって嘆いていたら、後ろから忍び寄る影が1つ。
影そのものでした。うさ子にとりついて実体化しようとしています。
飛び掛ってくる影。うさ子は足もとの本を蹴飛ばしました。すると
本が壊れました。ショック。気に入ってたのに。
なんとかして直したいと思いますが、どうすればいいのか皆目見当がつきません。
「これ、ステンレス製だし…。インゴット精製からやるしかないのかしら」
そうこうしているうちに出来たのはかわら版。古風だね!
瓦のごとく硬いかわら版です。影を打ち返すまでの時間0.3秒!!
「お見事ねうさ子…でも残念だけど…そうね…
50メートル走が20秒を割らないと立派なうさ子にはなれないわ」
うさ子は速く走るために必要な技術を、専門のトレーナーから学び直すことにしました。
しかし、月謝が高すぎて払えません。月にうさ子3匹って何だよ…!!
逃げ回るうさ子を追いかけるうさ子。自然と足も速くなるってもんです。
気づけば追われる側になっていたうさ子。自然と足も速くなるってもんです。
よく見ると2人で並んで走っていたうさ子たち。自然と足も二人三脚状態に。
見えない紐で足を、いや心を繋ぐうさ子2人。
しかし片方のうさ子は「裏切り上等!」とばかりに紐を切断…ッ!!
見えないはずの紐を持って逃げるうさ子と追いかけるうさ子。夕陽へ向かっています。
ああこのまま2人のうさ子は赤い夕陽に焼かれてしまうのでしょうか。
焼かれてしまいました。その熱さでうさ子の家から探し物が出てきました。
買い置きしといたチョコレートの中に埋まっていたのは、
プロテインでした。おかげで50メートル走のタイムをさらに1秒ちぢめることができたのでした。